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World Trend

LCC(Low Cost Carrier/格安航空会社)から見えてくる!?日本の利用者意識

2007.12.10

マレーシア政府はマレーシア航空とシンガポール航空による寡占状態が続いていたクアラルンプール・シンガポール間の航空路を数ヶ月以内に自由化する方針を表明しました。このニュースが東南アジアに流れたのは10月下旬のことです。

ASEAN域内の首都間は2009年から航空自由化が決まっていて、同国間路線の開放は時間の問題となっていました。それが差し迫るにつれ、非常に大きな社会の変化を実感しています。現在、同都市間は400S$(シンガポールドル)程度と、飛行距離が倍以上あるバンコク・ジャカルタと同じかやや下回る価格が設定されていますが、「運賃は既存の航空会社より30~50%程度は安くする」のが参入LCC各社の価格設定です。それによって引き起こされることが予想される健全な価格競争と選択肢の増加は、利用者にとって歓迎すべき事態でしょう。

日本の航空事情も決して例外ではなく、航空自由化への対応は避けられません。オーストラリアのジェットスターは今年3月、豪州東海岸と関西国際空港を結び、8月には中部国際空港便を就航させました。独立系のビバ・マカオも12月をめどに、マカオ・成田便を週4便発着させる意向です。エア・アジアは名古屋就航を視野に入れていて、シンガポール航空系のタイガーエアウェイズは韓国に格安航空会社を設立し、日本や中国・モンゴル・ロシアに向けて08年に運航を開始する目標であることが11月上旬に明らかになるなど、否応なく変化に対応することが求められています。

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私がこちらで聞いたシンガポール人の評価は、ビジネス出張では待ち時間に仕事をするためラウンジが使用できるナショナルキャリア(NFC)を選択するけれども、プライベート旅行ではタイガー航空で十分といった感じでした。クアラルンプールやシンガポールでは旅客ターミナルが別になっていて、施設の充実した国の玄関としてふさわしい一般ターミナル(NFC)と、まるで体育館のようなバジェットターミナル(LCC)が存在します。LCCでは“チケットは紙1枚”といったように、コスト削減努力が徹底されています。また、LCCの広告展開は価格訴求に、一方のNFCは新機材や新シートの導入を訴求するといったように、完全に内容とターゲットを分離させています。

リサーチャーとしては、「エアラインという商品・サービス選定に価格という要因がどの程度影響するのか」に興味があります。「多少割高でも、完全無添加のオーガニック野菜を購入する」消費者が存在するように、「多少割高でも、安全イメージを構築してきた既存航空会社を選定する」のかどうか・・・。旅行のスタイルや個人の価値観によって大きく意見が分かれることになるでしょう。保守的な意識が強くて安全対策が強く求められる日本市場では、参入当初の数年間は大きな影響は出ないのかもしれません。もちろん、LCCの安全性が欠如しているという実例があるわけではないので、参入後LCCに搭乗して体験を重ねていくことで徐々に安全イメージが形成されていき、それ以降が本当の意味での脅威になるのではないでしょうか。もしかしたら、価格ではなく別の要因として、定時運行や手荷物許容量・ラウンジなどに利用選定基準があるのかもしれませんし・・・。

今のところ日本では価格破壊者としてLCC脅威論が目立っているようですが、このようにLCC対策としてエアライン選定基準を調査し分析を試みることは、既存航空会社の評価や期待されている点を明らかにする良い契機となるのではないでしょうか。今後数年以内に起こり得るLCCの参入で消費者の意識がどう変化するのかを定量・定性分析すれば、日本市場での安全・品質と価格の最適なバランスを把握することができ、この航空業界の事例が普遍的なケーススタディとして将来の顧客分析につながるものと考えています。

シンガポール駐在 橋本樹一郎