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インドの「家」事情と暮らし方

2008.10.09

 今回はインドのデリーでのホームビジット(家庭訪問)でお邪魔した、あるご家庭の様子をご紹介します。
 デリーはインドの首都。ムンバイやバンガロールと比較すると、政治都市としてやや保守的な地域ではありますが、近年は近隣地域に製造業やIT企業などが次々と進出するなど産業発展が著しい大都市です。 
 
 今回訪問したご家庭は、現地の外資系IT企業のマネージャーであるご主人と奥さん、小学生のお子さん、ご主人のお父さんの4人家族で、現地ではかなり豊かな層にあたります。

※日経リサーチが発行している調査レポート『 日系企業における海外現地スタッフの給料と待遇に関する調査2008 』(※1)によると、ITスタッフの平均年収は約264,000ルピー(約580,800円)、エンジニアは約274,000ルピー(約602,800円)。インドでは、社会経済階層(SEC)を5つに分類することが多く、このレベルの年収はインド全体の上位約14%を占めるAクラスに該当します。(※2)
 
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リビングです。 
 
 
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ダイニングボードです。 
 
 
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こちらはキッチンです。コの字型になっていて、三方に棚やコンロがあります。 
 
 
インドの“食”
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冷蔵庫を見せてもらいました。お鍋ごと冷蔵庫に入れていますね。お鍋で作ったお料理をそのまま保存しています。
 
野菜はほとんど入っていませんでした。生鮮食品は毎日近所の商店に買いに行き、その日に使い切ってしまうそうです。冷凍スペースには氷とペットボトルが1本のみ。食品を冷凍したり、冷凍食品を食べたりという食生活には馴染みがないようですね。
 
まだ使えるので今すぐにと言う訳ではないが、買換えの候補はSamsungとLG電子とのこと。 
 
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食器類は陶器が少なく、ステンレスのものがほとんどです。お子さんのお弁当も、このステンレスタイプのボックスを使用しているとのこと。 
 
 
 インドの人口約8割を占めるヒンドゥー教や、その他古くから信仰されている宗教の考え方から、不殺生や肉食忌避、また菜食によって徳を積むという観念が人々の中に深く根付いているそうです。そのため、今でも国民の約6割の人がベジタリアン(菜食主義)で、世界で最もベジタリアンの多い国とも言われています。
 こちらのご家庭もお母さんがベジタリアンなので、牛乳は貴重なタンパク源になります。毎朝、お散歩がてら近所の「マザー・デイリー(Mother Dairy)」に出かけていって、牛乳を買ってきます。 
 
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マザー・デイリーは牛乳やチーズ、ヨーグルト、アイスクリームなどの製造販売を手がける大手の乳製品メーカー。店舗はインド全土に14,000店を数えます。左の写真は近所の店舗です。 
 
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夕方の時間帯です。
7-8名のお客さんが並んでいます。 
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ここでお金を払い、コインをもらいます。 
 
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持参したステンレスの容器をセットし、カウンターで受け取ったコインを入れると・・・ 
 
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支払った分量の牛乳が出てきます。容器ごと自宅に持ち帰り、家族でフレッシュな牛乳を飲みます。 
 
 
 ほぼ全ての食品のパッケージには緑と赤、どちらかのマークが印刷されています。赤はノンベジタリアン(非菜食主義者)、緑はベジタリアン(菜食主義者)向けの食品という意味です。写真のヤクルトには、緑のシールが付いていますので、ベジタリアンでも飲めることがわかります。 
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IT活用状況
 
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またお家の中を見せてもらっています。 珍しいポータブルプレーヤーの使い方を発見。何と、このポータブルプレーヤーを利用して映像を見るというのです。黄色い映像端子が見えるでしょうか?そこからモニターに映像を流しているそうです。 
 
 
 パソコンはパーツを買って組み立てるキットが好まれており、モニターはSamsungですが、本体のメーカーは無名のもののようです。というのも、ノートパソコンと比較すると明らかにデスクトップパソコンをパーツ買いするほうが安いからだそうです。
 
 パソコンは家族3人の寝室に置かれてあり、皆で共有しています。インド政府は2007年を「ブロードバンド・イヤー」と位置付けており、I-Cubeのレポート(※3)によると2006年のパソコン所有者は約3,861,000人でしたが、2007年には約5,723,000人へと急増しています。また、パソコン所有者の急増により、パソコン所有者のうちのインターネット接続利用者の割合は、2006年の76%から68%に減少していますが、単純に利用者数でみると、2004年は約1,304,000人、2006年は約2,927,000人、2007年は約3,878,000人と、やはりインターネット利用者も年々増加していることがうかがえます。実際、こちらのご家庭ではブロードバンドでインターネット接続しており、小学生のお子さんも勉強や調べものにインターネットを活用しています。月々のインターネット利用料金は電話代込みで、2,000~2,500ルピー(約4,400円~5,500円)とのこと。 
 
 また、パソコン本体の左側に見える黒い箱はUPS(電池や発電機を内蔵し、停電時でもしばらくの間コンピュータに電気を供給する装置)。デスクトップなので、停電になってしまうとアウト。この地域では、1日数回の停電があり電力の供給が不安定なので、パソコンユーザーにとっては必須アイテムです。 
 
 
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韓国勢強し・・・
 
 電子レンジは大宇電子、応接室に置かれたテレビはLG電子、全自動洗濯機はSamsung。韓国製品を愛用している理由を聞くと、「アフターサービスがいいから」とのことです。 
 
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 おまけに「強い子供に育てたい」との願いから始めた小学生の息子さんの習い事は「テコンドー」。文化の面でも韓国がその存在感を強めているようです。 
 
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菜食主義からも分かるように、インドを知るにあたって避けて通れないのは宗教。写真は訪問家庭にあったヒンドゥー教の神棚です。日本でみる仏教の神棚よりもずいぶんカラフルで、何となく身近に感じられます。 
 
 
 
 インドでは、宗教や生活習慣など昔から受け継いでいるものが多々あり、新興国に良く見られる「豊かさ=お金・新製品」といった風潮はあまり見られず、精神的な豊かさを感じました。次から次へと新しいものに買い換えるのではなく、丁寧に長く使い続ける。そんな生活スタイルに、韓国勢の「アフターサービスの良さ」が受けたのかもしれません。 
 

※写真は本人の了解を得て撮影をしています。 
※1ルピー=2.2円で計算しています。 
 
※1参照資料: 「日系企業における現地スタッフの給料と待遇に関する調査」レポート
※2参考資料: NRS2005 
          SEC:Socia-Economic Classification(社会経済階層)
※参照資料3: “I-CUBE 2007, Internet in India”, IMRB and IAMAI, 2007 
 
 
 
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国際調査グループ 井上弘喜