フェースブックとニールセンの提携 ― 欧米ネット広告業界の気になる今後
2009.10.20
米SNS大手のフェースブックとマーケティング調査大手のニールセンが提携が発表しました。9月23日付のウォールストリートジャーナル紙によると、両社はこの提携で始まる新サービスにより、SNS上の広告効果測定に不満を持っていた広告主のフラストレーションを解消すると意気込んでいるようです。
このサービスはNielsen Brand Liftといい、簡単な質問でフェースブック・ユーザーの広告想起やブランド好意度、購買検討などが測定できる調査だそうです。導入にあたってフェースブック社は新サービスがオプトイン(能動的同意)方式での調査だということを強調しています。以前、別のサービスがプライバシー問題で大騒ぎになったことが背景にあるのでしょう。
そのサービスは、フェースブック・ユーザーが他のウェブサイトで購入した商品や視聴したビデオなどの情報を、フェースブックがユーザーの友達に知らせるという新機軸のSNS広告システムでした。ところが、導入当初オプトアウト(受動的同意)方式を採用していたため、多くのユーザーが新サービスに気づかず、知らない間に自分の行動を友達が知っていたというユーザーの非難がフェースブック社に集中しました。同社CEOのザッカーバーグ氏は謝罪したうえで、「我々の犯した過ちは、ユーザーに対し十分な情報管理能力を与えなかったことだ。より細かな情報管理能力を提供できれば、ユーザーはより多くの情報を共有でき、我々もより多くのことを達成できるだろう」と語りました。
この言葉は、オプトイン方式の優れた点を的確に評価しています。自分のネット上での行動を勝手に知られるのは誰でも嫌です。しかし広告主やサイト運営者側は、ユーザーの本当の顔が見える情報を喉から手が出るほど欲しい。控えめなオプトイン方式かつ信頼感のある大手調査会社ニールセンとの提携という形での調査なら、ユーザーも受け入れやすいものかもしれません。
9月30日に英国Internet Advertising Bureauが発表したレポートによると、同国の広告市場でネット広告費は2009年上半期にTV広告費を抜いてシェアトップとなりました。フェースブックとニールセンの提携は、現在のネット広告におけるクリック数至上主義的な雰囲気を打破し、クリックの質に注意を向けさせて、停滞気味のネット広告市場を英国のように活性化させる起爆剤になるかも知れません。
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ニューヨーク駐在 木村久生



