豚肉のブランド力が高まっています

2008.02.28

 総務省の家計調査によると、2006年の1世帯当たりの豚肉の消費量は約17,300グラムで、10年前と比べ9%増加しました。一方、牛肉は約6,900グラムの37%減少となっています。豚肉消費量が増加している背景として、BSE(牛海綿状脳症)問題で需要が牛肉から豚肉にシフトしたことがありますが、その他にブランド豚の台頭もあります。「うちのしゃぶしゃぶは豚肉だよ」と言うと、10年前には笑われましたが、今は豚しゃぶ専門店も続々登場するほど豚肉のイメージは向上しています。
 ブランド肉は、品種、餌、飼育方法の三点を差別化することでつくられます。(財)日本食肉消費総合センターのホームページで豚の銘柄が掲載されていますが、その数は2000年の179銘柄から251銘柄に増えています。「かごしま黒豚」「平牧三元豚(ひらぼくさんげんとん)」「あぐー豚」などすでに人気のブランドは多数あります。今回は私が好きな「白金豚(はっきんとん)」と「TOKYO‐X」についてお話します。

白金豚 ~高い価値に隠された切ない物語~

 高源精麦(岩手県花巻市)の「白金豚」は、宮沢賢治の童話「フランドン農学校の豚」(新編 風の又三郎:新潮文庫:新潮社)に出てくる「白金」というフレーズからくるイメージを参考に名付けられたそうです。物語の中で、豚を飼育している生徒は『ずいぶん豚というものは、奇体なことになっている。水やスリッパや藁をたべて、それをいちばん上等な、脂肪や肉にこしらえる。豚のからだはまあたとえば生きた一つの触媒だ。白金と同じことなのだ。』と言っています。それを聞いた豚は、自分が『白金と同じ』と賞されたのを聞き、幸せに暮らしていました。最後は、その価値ゆえに校長先生から「死亡承諾書」に無理やりに調印させられ、泣く泣く殺されてしまうのですが・・・。現在の「白金豚」は銀行からブランド価値を認められています。2007年12月27日付の日本経済新聞には、岩手銀行が農業分野で同行初の動産担保融資(ABL)を高源精麦に実施したという記事が載りました。

TOKYO‐X ~それは本当に"幻の豚肉"~

 最近、残念なことがありました。近所のスーパーで、"幻の豚肉"という評判通り(?)に「TOKYO‐X」が姿を消したのです。人気の高まりに供給が追いつかない状況で、そのスーパーは仕入れ競争に負けてしまったようなのです。「TOKYO‐X」に替えて棚に置かれた豚肉を買ってみたのですが、霜降りが多くジューシーな肉質の「TOKYO‐X」には及びません。「TOKYO‐X」が店頭に並ぶことを待ち望んでいる今日この頃です。

 日経リサーチでは2007年末、全国の百貨店・スーパーの生鮮バイヤーをパネル化した調査パッケージを開発しました。調査では精肉、鮮魚、青果のブランド評価や取引意向についてプロの意見を探ることができます。詳しくは当社ホームページ 「バイヤーアンケート 生鮮ブランド編」 をご覧ください。

編集調査グループ 佐俣桂子