日本を楽しみませんか

2008.03.06

 この数年、日本のリゾートが見直されてきています。これまでハワイを代表として海外の街を特集することが多かった女性誌などでも、国内のリゾートを特集する機会が増えてきました。その背景には女性が海外旅行しつくして日本に回帰してきたとか、為替の問題とか、治安の問題など色々考えられますが、日本のリゾートのサービスの水準が高まってきたことも要因の一つにあるのではないかと思われます。
 実際、90年代は年に1~2回は海外旅行に出ていた私もこの数年は体力の低下も手伝って、10時間近くも飛行機に乗るような旅行よりは、数時間で気軽に行けて、時差も言葉の心配もなく、食べ慣れた食事がとれる国内の旅行の方が断然良くなってきました。そう思って国内を見渡すといくつも魅力的な土地、ホテル・旅館があることに気づかされます。

 東京がまだ日中10度くらいの2月に石垣島よりもさらに南の小さな島に行ってきました。初夏を思わせる力強い日差しの中、小高い丘から見下ろす海の美しさには言葉を失いました。きれいな海は地中海でもハワイでも見てきたつもりでしたが、パスポートを使わなくても見られるところがあったのだと今さらながら日本を知らないことに気づかされました。その島に宿泊もしましたが、そこのホテルの客室はインターネット接続が可能でDVDも見られ、シャワーブースが独立したジェットバス付きの上、外へと出られるドアがあり開放感溢れるバスルームもあり、ベッドルームの他に昼寝用のデイベットが付いた南の小さな島にあるホテルは思えないほど充実した設備。客室、公共のスペースともに清潔に管理が行き届いた落ち着いた空間が居心地のよさを提供していました。従業員は誰もがいつもでもよく南の青い空に良く似合うさわやかな笑顔で挨拶してくれて、質問やオーダーには的確な案内を返してくれました。バスを待つ間のロビーでは退屈しないように従業員が台風の季節の大変なこと、近くの島の良さを話してくれて、島の穏やかな雰囲気そのもののサービスをしてくれました。パーフェクトとはいえないところもありましたが、今の日本はこんな小さな島でも安心してサービスが受けられるくらいになっているのだと、サービス面についても日本のことを知らないことに気づかされました。

 また夏には伊豆の老舗温泉旅館に泊まりました。旅館はサービスに制約の多いことが反対にストレスになるということで一時敬遠されていましたが、最近人気が高まってきているようです。その旅館も古いながらも随所に新しい試みがあり、ホテルの便利さ旅館の落ち着きが体験できました。何よりいいなと思ったのは夕食です。旅館の夕食というと全ての食事が一度に食卓に広げられ、刺身、煮物、揚げ物鍋物など何を一番食べさせたいのか全くわからない構成で、絶対に食べきれない量との戦いを思い浮かべますが、泊まった旅館では食事の進み具合に応じて一皿ずつ説明をしながら出してくれて、量も過剰なことはなく、食事そのものを楽しむことができました。温泉に入るときも部屋からタオルを持たずに脱衣所に好きなだけ使えるように置いてあり、湯上りにおいしい水が楽しめるように氷の入った桶に冷やして入っているといった配慮がありました。この辺りはホテルのサービスを取り入れているようです。この旅館に限らず、これまでちょっと不便だなと感じていたサービスの形態を変えようという旅館が増えていると聞きます。

 これらのホテル・旅館では、安くても1泊一人4~5万円は覚悟しなくてはいけませんから、2泊以上するならハワイに行った方がよほど安上がりかもしれません。人によっては日本のサービスは海外の一流のものにはまだまだ及ばないのに高い値段ばかり取ってと思う方もいるでしょう。しかし日本のリゾートのサービスはその土地の魅力と、お客様の声を受け入れようという柔軟な姿勢でこれからもっともっと良くなるのではないかという予感がしています。ホテル・旅館側の一方的な教育だけでサービスを良くすることは難しいでしょう。海外のサービスで目の肥えたお客様が利用し、時には厳しい意見を返すことで、日本のリゾートを世界に誇れるリゾートに育てることが出来るはずです。しばらくは日本から出られそうにありませんね。

サービス品質マネジメントグループ 北嶋陽子