携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーのヒット要因とは?

2008.07.08

 皆さんは、いつどんなところで音楽を聴いていますか?そしてどんな機器で聴いていますか。私は通勤の途中の電車の中で、携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーを使って聴いています。携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーは、iPodのヒットもあって、ここ数年で急速に広まっています。本体の重量も軽くなり、データ容量も大きくなってますます使いやすくなっていますね。私にとっても、手放せない道具です。

 携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーの代名詞といえばiPod 。発売して5年半、2007年に全世界での出荷台数が1億台を突破しました。かつてSONYがカセット・オーディオ・プレイヤー「ウォークマン」を大ヒットさせましたが、1億台の突破には13年半かかっています。
 このように急速に普及しているのは、携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーがカセット・オーディオ・プレイヤーよりも商品力の面で優れているということなのでしょうか?必ずしもそれだけではなく、この商品が現代のニーズにマッチしているということなのではないでしょうか。今回のコラムでは、利用シーンからこれを考察してみたいと思います。

利用シーン1:移動中(交通機関内、徒歩)に使う

 テクノロジーの進化によって小さなサイズとなり、しかもたくさんの曲を持ち運ぶことができるようになりました。今では「持ち運ぶことができる」サイズから、「身につける」サイズにまで進化したといえるでしょう。これによって、より気軽に使用できることができるようになりました。スーツやカバンの胸ポケットに入れたり、首から下げたりといったスタイルで使用している人をよく見かけます。

利用シーン2:何かをしながら(本や新聞を読みながら、仕事をしながら)使う

 現代人は生活の中でできることが多種多様になったことによって、限られた時間を有効活用したいという意識が拡大しています。その結果、2つ以上のことを同時に行う、いわゆる「ながら」行動が好まれるようになっています。シーン1の「移動しながら音楽を聴く」というのも「ながら」行動の1つといえるでしょう。あなたも、無意識のうちにたくさんの「ながら」行動をしているのではないでしょうか。通勤電車で移動しながら、携帯電話でメールをしながら、音楽を聴いている人、いませんか?デジタル・オーディオ・プレイヤーは、「何かをしながら利用できる商品」として、現代人のニーズを満たしていると考えられます。

利用シーン3:1人でいるときに使う

 インターネットや携帯電話。これらの新しい道具はいろいろな人との多種多様なコミュニケーションを提供してきました。これによって、これまで以上に常に誰かに接し、会話をする時代となっています。従来は一人の時間を楽しむものであったゲーム機でさえ、通信によって他のプレイヤーとコミュニケーションを取ることができるのですから。これは新しいテクノロジーが与えてくれた素晴らしいことであるのと同時に、少し行き過ぎているとも感じてしまいます。これからは、「一人の時間」をもっと大切にする、そんな時間を提供してくれるような商品が注目されてくるのではないでしょうか。携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーは主に一人でいるときに使われる商品です。自分が好きな音楽を誰にも気兼ねなく堪能する。こんな時間を提供してくれることが、見逃せないヒット要因であると考えています。ただ自分だけの時間は通勤電車の中だけ、というのは寂しいことではありますが・・・。

 利用シーン1~2を眺めてみると、「時間の有効活用」というニーズから派生していることがわかります。それに、利用シーン3の「1人の時間を大切に」するという視点が重なり、現代社会のニーズにマッチしていること。これが今、携帯型デジタル・オーディオ・プレイヤーがヒットしている要因になっているのではないでしょうか。この視点は、次のヒット商品を発想するためのヒントになりそうです。

デジタル調査グループ 佐藤寧