環境経営--企業が次に見せるもの
2009.12.03
企業が環境やCSRに配慮した経営に取り組む事--果たしてそれはどれくらい企業価値やブランドイメージの向上につながっているのだろうか。
環境経営について独自の評価モデルを使って企業を比較分析する日経リサーチの環境経営支援サービス「環境+(プラス)」は最新版となる2010年版から、新たにCSRの分析や消費者からみた評価を加えました。現場で取り組む課題を支援するだけでなく、環境活動そのものが企業としての価値やブランドのイメージにどれだけ寄与しているのか、目標管理に使用できるよう数値のトラッキングも可能にしました。
2010年版「環境+(プラス)」の特徴は、調査評価機関としての日経リサーチからみた取り組み評価と顧客からみた評価、いずれのアプローチからも自社の取り組みが正しく伝わっているかを「見える化」した事、そして何より企業価値を高めるために、今、企業が環境やCSRに関して何を伝え、何を見せる必要があるのか、次のアクションにつながるソリューションを提供する事です。
日経リサーチがこれまで一貫して訴えてきた事は「見える環境経営」の実現です。環境問題への取り組みは「見せて」こそ新たな価値を創出するものであり、良いイメージがプラスの効果となる一方で、見せ方や伝え方が不十分だと、逆に取り組んでいないという誤解をあたえかねず、それがリスクにもなる時代です。
そんな中、各社がサステナブルリポートやWeb情報を通じて、新たに「見せ始めた」取り組みが「生物多様性」(注1)の保全に踏み出した姿です。
日経リサーチが2009年9月に実施した「企業の環境トレンド調査」では、生物多様性の保全活動に「既に取り組んでいる」企業は42.2%。「取り組んでいない」「現段階では未定」の47.1%を下回り、進捗状況はまだまだというのが現状です。08年6月から「生物多様性基本法」が施行されましたが、これはいわゆる理念法で、規制もなければ正しい取り組み方を教えてくれるものでもありません。言い換えれば生物多様性問題の受け止め方、取り組み方は企業次第という訳です。
どう取り組んでいくべきかを示したガイドラインは続々と登場しているものの、果たしてどの程度の実行が期待されているのか、取り組みに顧客はどの程度関心があるのか、知りたい事は山ほどあるのではないでしょうか。2010年版「環境+(プラス)」では分析項目に新たに「生物多様性」を加え、ましたので、ぜひご活用ください。
2010年は国連が定める「国際生物多様性年」。名古屋で「生物多様性条約第10回締約国会議」が開催され、日本は議長国を務めます。主要な議題は2010年までに生物多様性の損失速度を大幅に減らすという「2010年目標」の結果評価と新しい「ポスト2010年目標」の作成です。
生物多様性の保全活動では、実効性を高めるため生物多様性CDMや生物多様性オフセットといった仕組みも動き出しました。そういえば、どこかで似たような議論を聞いたことがありませんか?
そう。生物多様性問題は地球温暖化対策と似たような国際的枠組みに進みつつあるテーマなのです。日本は1997年に採択した京都議定書で温暖化ガスの6%削減を約束しましたが、達成は困難な情勢で、経済界からは今も「数字合わせで政府が半ば強引に約束した」との恨み節が聞こえてきます。さて生物多様性はどうでしょう。ぜひ議長国日本政府には、産業界にも世界にも生物多様性に対して理解が得られるビジョンを「見せる」努力を期待しています。
(注1)生物多様性=生物は長い年月の進化の過程で分化し、それぞれの生息場所に応じて存在している様子。生態系が持つこのような多様性を生物多様性と呼ぶ。生物多様性の持続は自然生態系のバランスを崩さない事。企業活動における生物多様性への配慮が欠かせない。
データ事業本部 石川真江