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日本のカントリー・イメージの変化

2008.08.20

日本語ボランディア

 月に2回シンガポールの日本人会で企画・運営されている日本語学習ボランティアに参加しています。これはシンガポールで日本語を学習している人を集め、日常会話の機会を提供するものです。普段は学校などで日本語を勉強していますが、語学教師ではない普通の日本人と会話する機会が少ないため、それを無償で提供しています。と、カタく書きましたが、要は日本語で気軽におしゃべりしましょうという場です。
 シンガポールでは中学校進学時、英語は基本言語として、第二言語として自分の母国語(中国系であれば中国語、マレー系であればマレー語)を学び、さらに第三言語としていくつかの外国語(中国語、マレー語、インドネシア語、ヒンディー語、フランス語、日本語など。最近はアラビア語も選択肢のひとつとなっているようです)の中からひとつ選択する形式のようです。なのでTrilingualは当たり前。 

日本語を学ぶきっかけ

 私が担当している高校生に日本語を選択した理由を聞いてみると、「世界の経済大国として興味があるから」「特殊な歴史のある国をもっと知りたいから」といった硬派な意見がある一方、「日本人は英語ができないから、日本語ができればビジネスをする上で有利になるから」という実利的で日本人からするとやや肩身の狭い理由もあります。とはいえこれらは少数派であり、「日本のエンタテインメント業界に関心があるから」が圧倒的多数派です。 

Hey! Say! JUMPが大好き

 ある16歳の女子高校生はジャニーズ事務所所属タレントにとても詳しい。まず初対面時の会話が「橋本さんはジュニアの橋本良亮と何か関係があるのですか」ですから。もちろん関係ないし、そもそもその彼の存在すら知りません。そして、SMAPやTOKIOなどではなく、彼女のストライクゾーンはHey! Say! JUMP。「元男闘呼組の岡本健一の息子が所属」という私が知っている唯一の彼らに関する情報にも「私も知っています」とあっさり返答。 

CDは空輸で購入

 そんなジャニーズ好きな彼女なので、当然CDを入手したいと考えています。ただ、シンガポールには一部の日本人アーティスト、例えば浜崎あゆみやEXILEなどが正規の東南アジア頒布版として日本の半値程度(アルバムが20S$弱)でHMVなどで販売されていますが、あくまで一部です。そのため、以下のような日本のサイトにアクセスして購入する必要があります。とはいえ3,000円に空輸代が加算され、合計で60S$以上。5,000円近くの出費は高校生には痛いところです。
http://www.cdjapan.co.jp/index.html  

もう一足伸ばして、東南アジアまで

 彼女は日本語を勉強していることから、ジャニーズ事務所に「上海・香港・台北だけでなく、シンガポールにも公演に来てほしい」と、要望のメールを送ったそうです。残念ながらまだ返事はないようですが、「日本の社会背景から判断して、事業として成長を続けるために上海・香港・台北に進出している。さらに市場を拡大するために近い将来シンガポールでも公演が行われる可能性は高いと思うよ」と自分なりの分析を伝えると、目を輝かせていました。 

カントリー・イメージ変化の潮目に

 ご存知の通り、これまで日本の輸出産業というと自動車・電器などの製造業が中心でしたが、最近は国内需要の落ち込みもありサービスやエンタテインメント業界がアジア進出に積極的です。ただ健康指向を背景とした日本食への注目や上述の彼女に代表される日本のエンタテインメント業界への関心からすると、多くのビジネスチャンスがあるにもかかわらず、現状の日本企業の取り組みはやや遅れていると感じざるをえません。 
 しかしそのような状況でもすでにいくつかの進出事例が存在しており、サービス関連で先行する吉野家はすでに14店舗をシンガポール内に展開し、モスバーガーもマクドナルドに次ぐメジャー・プレイヤーとなっています。さらに来春にはタイにすでに進出している定食でおなじみの大戸屋がシンガポール進出を予定しています。こうしたサービス産業に加えて、9月にはMISIAがシンガポール公演を行うなど、単発的ではあるもののエンタテインメント業界の市場開拓への積極的な取り組みも始まっています。 
 これまで日本のカントリー・イメージというと、ハイテク・高品質に偏っていました。しかしこうしたサービスやエンタテインメント業界の取り組みにより、今後数年はソフトの浸透とそれに伴う日本のカントリー・イメージへの転換期になるでしょう。それにより必然的に影響を受ける個別の日系企業のコーポレート・イメージ戦略にも影響を与え、転換・修正を求められるかもしれません。