中国・タイ、景況感が大きく改善 ロシアは現在・3カ月後とも大幅低下
株式会社日経リサーチがアジアを中心とした世界各国の生活実態を探る「世界暮らし向きDI」調査の最新結果(2015年1月実施)がまとまりました。
この調査は米国、英国、中国、インド、マレーシア、タイ、ブラジル、ロシアの8カ国に、2014年4月調査から日本を加えた計9カ国に住む20~59歳の男女各国約200人ずつにインターネットを通じて生活実感を尋ねるもので、現在と3カ月後の暮らし向きを聞き、「暮らし向きがよい(よくなる)」と回答した割合から、「悪い(悪くなる)」と回答した割合を引いた結果が「暮らし向きDI(指数)」となります。
調査は2013年7月から3カ月に1回実施しており、今回が第7回になります。結果は短信スタイルにまとめてお客様にご提供しています。
今回15年1月の調査で、現在の暮らし向きDIは前回(14年10月)大幅なダウンとなった中国とタイが5ポイント以上改善したのに対し、過去最高を更新した英国は6ポイント低下しました。また、景気の後退感が強まっているロシアは現在DI・3カ月後の暮らし向きDIともに過去最低の30台に急降下しました。
中国は消費や輸出の伸び悩みから経済の減速が続いており、タイも政局不安や予算執行の遅れから景気の伸びは鈍っているものの、現在DIは前回の反動からか、中国が8ポイント、タイが6ポイント持ち直しました。大幅改善は前回の3カ月後DIでも見込まれていましたが、実際の改善幅は下回りました。個人消費主導で景気が回復している英国の現在DIが低下したのも同様の反動と見られます。英国と並んで前回過去最高を記録したインドの現在DIは2ポイント低下しましたが、90と依然高水準。景気好調の米国は4ポイント下げましたが、引き続き70台を維持しています。
今回、独り負けとなった感があるのはロシア。欧米の経済制裁強化と原油価格の大幅下落で深刻な通貨ルーブル安が続き、インフレが進んで、景気失速の懸念が強まっています。現在DIは4期連続の低下で34、3カ月後DIは18ポイントの大幅下落で30と初めて現在DIを下回りました。現状だけでなく先行きにも悲観的な見方が広がっています。また、現在DIが72のマレーシアの3カ月後DIが46と26ポイントも低いのも目を引きます。消費・輸出とも堅調ですが、主力の輸出品である原油安の影響に加え、15年4月から導入される6%の物品・サービス税への懸念が強いことが考えられます。
日本は現在DIが前回から横ばいだったのに対し、3カ月後DIは16ポイントの大幅アップでプラスマイナス0まで戻しました。
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