ベトナム過去最高、中・タイは最低更新EU離脱懸念の英は将来に楽観的?
日経リサーチが2016年4月に実施した第12回「世界暮らし向きDI」調査の結果がまとまりました。
この調査は米国、英国、中国、インド、マレーシア、タイ、ブラジル、ロシアの8カ国に、2014年4月調査から日本、2015年4月調査からベトナムを加えた計10カ国に住む20~59歳の男女各国約200人ずつにインターネットを通じて生活実感を尋ねるもので、現在と3カ月後の暮らし向きを聞き、「暮らし向きがよい(よくなる)」と回答した割合から、「悪い(悪くなる)」と回答した割合を引いた数値が「暮らし向きDI(指数)」となります。
調査は2013年7月から3カ月に1回実施しており、今回が第12回になります。結果は短信スタイルにまとめてお客様にご提供しています。
現在の暮らし向きDIはベトナムが前回調査(16年1月)の59から5ポイント上昇し、64と過去最高を記録しました。旺盛な個人消費や安定した物価を背景に内需が拡大しており、好調な輸出とともに、経済成長を支えています。一方、景気減速懸念が根強い中国は前回から8ポイントダウンの72で過去最低となりました。賃上げペースの鈍化で個人消費が伸び悩み、地方都市では大量の住宅在庫が積み上がっています。景気の先行きには不安感も漂っており、3カ月後の暮らし向きDIも過去最低水準が続いています。また、長引く景気停滞からの回復が遅れているタイも現在DIは前回から2ポイント低下して40と過去最低を更新しました。消費者心理は依然冷え込んでおり、3カ月後DIも過去2番目の低水準に落ち込みました。
対照的に、ロシア、マレーシア、英国は3カ月後DIが2ケタの伸びを示し、マレーシアと英国は過去最高となりました。ロシアは個人消費の回復には至っていませんが、原油価格の上昇で経済の最悪期を脱した可能性が指摘されています。マレーシアは資源価格の下落に伴う雇用不安などを背景に景気停滞が続き、足元の消費者心理を示す各指数は低迷していますが、先行きは悲観していないようです。 英国は欧州連合(EU)からの離脱を巡る国民投票を6月23日に控えています。離脱が決まれば、経済に打撃となり、成長の減速、景気の後退が指摘されていますが、世論は二分されており、先行きは全く不透明。世界経済にも大きな影響を与える投票ですが、英国市民は将来を楽観視しているようです。
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