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「世界暮らし向きDI」からみる各国の景況感

世界の人々は自らの生活をどうとらえ、その動向はどう変化しているのか。そんな疑問から出発した「世界暮らし向きDI」調査が1周年を迎えた。本稿ではこれまでに見えてきた傾向を紹介する。

落ち込むタイとブラジル

 世界暮らし向きDIは米国、英国、ブラジル、ロシア、インド、中国、マレーシア、タイ、日本の9カ国を対象に、2013年7月から3カ月ごとに実施しているインターネット調査(日本は14年4月に追加)。現在の暮らし向きを「よい」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値をDIとして指数化した。

 図表1には対象国5カ国のこの1年間のDIの推移を示した。最新の14年4月調査の結果をみると、タイが前回(14年1月)の60から44に、ブラジルが同84から72に、それぞれ10ポイント以上落ち込んだ。

図表1 対象国(一部)の暮らし向きDIの推移

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 タイは2回連続の下落。相次ぐデモやクーデターなど政治的混乱の影響だろう。年代別では40代・50代のDIが20代・30代より低く、高齢者の方が現在の暮らし向きを「悪い」と捉える傾向が見られる。(図表2

 他方、ブラジルはサッカーW杯や16年のオリンピックなど明るい話題が目立つが、経済の失速や格差拡大で足元の暮らし向きは決して明るくない。年代別ではタイとは対照的に、20代・30代が40代・50代よりも現状を悪く捉えている。(同)

 この調査では毎回、3カ月後の暮らし向きについても尋ねている。「3カ月後の暮らし向きDI」と実際に3カ月たった後の「現在の暮らし向きDI」を比較すると、国による傾向がはっきり表れた。

図表2 タイとブラジルの年代別DIの推移

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将来「悲観」「楽観」に分かれる

 一つは「3カ月後のDI」の方が3カ月経過後の「現在のDI」より低い「将来悲観型の国」で、英国とマレーシアが当てはまる。
 もう一つは「3カ月後のDI」の方が3カ月経過後の「現在のDI」より高い「将来楽観型」の国で、ブラジルが該当する。
 IMFは14~15年のGDP成長率で、英国とマレーシアは下落、ブラジルは上昇との見通しを示しており、悲観型・楽観型の傾向と一致している。

 悲観型と楽観型の違いは現在の暮らし向きを「悪い」とする人の回答が特に影響しているようだ(図表3)。

 悲観型の英国やマレーシアでは、現状を「悪い」とする人は将来も悲観する傾向にあり、現在の暮らし向きを「悪い」とした人の3カ月後DIはマイナスとなっている。一方、楽観型のブラジルでは、現在の暮らし向きを「悪い」とした人も3カ月後DIはプラスで、しかも高い水準である。

図表3 現状の捉え方別/3カ月後DIの推移

 

現状の捉え方
3カ月後DI
第1回
2013年7月
第2回
2013年10月
第3回
2014年1月
第4回
2014年4月

英国
よい 26 55 63 67
悪い -33 -30 -17 -32

マレーシア
よい 50 61 56 60
悪い -17 -33 -35

ブラジル
よい 87 94 96 98
悪い 39 74 100 87

サンプル協力:サーベイサンプリングジャパン合同会社

  世界暮らし向きDIの結果は当社海外情報サイト「日経リサーチ グローバル・マーケティング・キャンパス(GMC)」で定期的に公開している。日本が悲観型か楽観型かも含め、今後の推移にご注目いただければ幸いである。

(国際調査本部国際ソリューション第1部 山越 淳司)

※こちらの内容は2014年8月10日発行の「日経消費インサイト」№17(通巻111号)のP.90“調査の現場から”に掲載されたものです。

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