株式会社日経リサーチ

FinTechの現在地

金融総合定点調査「金融RADAR」特別調査から~
 昨今、IT(情報技術)を利用した新しい金融サービスや金融事業が急速に普及しています。それを支えているのが、いわゆる「FinTech(フィンテック)」です。FinTechとは金融(Finance)と技術(Technology)から生まれた造語で、両者を融合した先進的なサービスが提供されるなど、金融ビジネスの在り方を変える可能性を秘めています。ところで、消費者はFinTechにどれほどの期待を抱いているのでしょうか。また、どのような人たちが実際に利用しているのでしょうか。
今回は日経リサーチが今夏に実施した金融総合定点調査「金融RADAR」の特別調査(年1回実施)の結果からFinTechについて考えてみたいと思います。
 
【FinTechの現在地】

① FinTechという言葉は全体の3割が認知。しかし期待しているのは1割程度
 FinTechという言葉を知っているかどうか聞いたところ、全体の認知率(「知っており、内容も理解している」と「知っているが、内容はよくわからない」の合計)は3割あったものの、FinTechに期待するかという質問に、期待する(「かなり期待している」と「やや期待している」の合計)という回答は1割にとどまりました。
認知についての答えでは「はじめて聞いた」が約7割で最も多く、期待についての回答は「よくわからない」が約6割を占めており、FinTechの一般消費者への浸透はまだまだのようです。


図表1 FinTechの認知度 FinTechの期待度

 

② FinTechの各サービスの利用経験は1~5%台が大半。認知率には開きあり
 次に個々のサービスについて利用経験と認知度を見てみましょう。
 
  • 家計簿管理:利用経験…12.0% 認知…31.9%
  • ロボアドバイザー:利用経験…2.1% 認知…10.9%
  • クラウドファンディング:利用経験…2.7% 認知…30.8%
  • スマート決済:利用経験…5.4% 認知…36.1%
  • ウエアラブル端末連動保険:利用経験…1.6% 認知…15.9%
  • 仮想通貨:利用経験…2.2% 認知…42.4%

 上記6つのサービスのうち、利用経験率が最も高かったのは家計簿管理で10%を超えましたが、それ以外は1~5%台とかなり限定的なものにとどまっています。一方、認知率が最も高かったサービスは仮想通貨の42%ですが、中には10%台にとどまるサービスもあり、認知率にはかなりの開きがあります。
 サービスの多くが年収や貯蓄・投資総額の多い富裕層ほど利用経験が多いのに対し、生活に直結した家計簿管理サービスでは、富裕層以外にも利用経験がみられました。
以上のことから、現在のFinTechサービスは、全般的にお金に余裕のある人の利用が多いものの、身近なサービスなら富裕層以外にも利用を促す余地があると言えそうです。

③ 認知率の高い仮想通貨でも利用意向は1割以下。普及にはセキュリティー不安を取り除くほか、メリットの訴求、利用シーンの拡大がカギ
 FinTechの諸サービスのうち、最も認知されている仮想通貨について、利用意向を聞いたところ、「利用したい」が1割に満たなかったのに対し、利用したくない(「あまり利用したくない」と「全く利用したくない」の合計)は6割を超えました。
利用したくない理由は、「セキュリティー上の不安がある」が5割近くに達し、以下「信用できない」「仕組みがよく分からない」「必要性を感じない」と続いています。
 最近注目を集めている「ブロックチェーン」という技術でセキュリティーを担保している仮想通貨ですが、日本においてはマウントゴックス事件や数々のサイバー攻撃の報道、ブロックチェーンの基盤となっている分散管理システムに対する理解不足などが不安につながっているのかもしれません。
 現在、仮想通貨はネット上だけでなく実際の店舗でも決済できる仕組みが広がりつつあります。仮想通貨はクレジットカードに比べ、店舗側が負担する手数料を抑えられるほか、グローバル通貨であることなどがメリットになっており、導入する店舗の増加が期待されています。今後の利用拡大には、安全性やメリットを一般消費者にいかに認知させ、利用シーンを増やしていくかが大きなカギになりそうです。

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