株式会社日経リサーチ

ブランド戦略サーベイ企業ロゴマーク測定から ~IoT時代のブランド戦略~

専門家はこう分析する

 ブランドの象徴である企業ロゴマークの価値を測定する調査項目を2015年より新たに追加しました。今回はブランド戦略サーベイの測定対象である570企業(ブランド)のうち、許諾が得られた352企業(ブランド)のロゴマークについて、「企業ロゴマーク認知度」「企業ロゴマーク評価」「企業ロゴマークからの想起内容」を測定しました。
 グラムコ株式会社 代表取締役社長 山田敦郎氏に今回の結果についての寄稿していただきました。

-------------------------------------------------------------------------------

グラムコ株式会社 代表取締役社長 山田敦郎氏 今回のブランド戦略サーベイ2015から、新たに企業ロゴマークパートが加わった。企業(コーポレートブランド)のロゴマークを提示して、それぞれに対するコンシューマー及びビジネスパーソンの認知度、好意度、信頼度、購入・利用意向喚起度、製品・サービス想起などのパーセプションを調べる、恐らく日本初であり世界でも類を見ないであろう調査として、大変興味深い。
? ロゴマークのことを、私は著書や講演の中で、しばしば「容量無限大の記憶素子」と例えている。顧客のよい印象やよい体験が蓄積され、選択の目印として機能するのがロゴマークである。それが付いているだけで、「品質の証し」となり、そのブランドにまつわるよい印象や体験を一目で思い起こさせる「スイッチ」となり、何よりも当該ブランドのファンにとっては、それを見ただけでわくわくするような「情動的象徴」だと考えられているのである。
 これまで実施されてきた、企業名称のみを提示し、その名前から浮かび上がる諸々の印象を調べて分析してきたブランド戦略サーベイに、「カタチ」や「色」というロゴマークの要素が加わり、名前のみの印象との違いすらも知ることが出来るようになったことは、我々ブランディングの専門家にとっても大層意義を感じる調査だ。

 この記念すべき第1回調査の結果から、28年の経験を持つグラムコの視点で、いくつかの発見を試みたいと思う。

色別分析―日本企業は「赤」が好き

 「日本企業のロゴマークには赤が多い」という定説は、今回のロゴマーク提示企業の中でではあるが、裏付けが取れた格好だ。日本人と日本の企業経営者は、赤がロゴ色として好きであることは間違いない。「赤」は情熱を感じさせる色だ。ただ実務経験を通してみると、日本人の嗜好も赤からそろそろ別の色へと変化してきているようだ。これから注目を浴びてもいいのが、各項目で赤に近いスコアを取っている「緑」である。また、金・銀は企業数が17と少ないが、多くの項目で首位となっている。自動車メーカーのエンブレムなどでシルバーの立体ロゴが増えているが、これほどに高スコアを取れるのであれば、他業種でも積極的に考えてもいい色なのだろう。ただし、再現性の問題や、大量に印刷物を製作しなくてはならないときのコストなど、ハードルは高い。

「容量無限大の記憶素子」としてのブランド

 企業ロゴマーク好意度が企業愛着度を上回るケースでは、社名以上に社名を表している月桂冠がトップとなっている。他にBMW、メルセデス・ベンツ日本、レクサス(LEXUS)など高級なクルマのブランドがあがってきている。スターバックスコーヒージャパンやアップルジャパンもこちらの分類に入ってくる。つまり大好きなブランド、たとえ保有・利用していなくても憧れのブランドは、まず名前より強烈な印象のマークが想起されるということか。容量無限大の記憶素子、という私の定義がもっともよく表れているのがこれらのマーク上位型ブランドである。

企業ロゴマーク認知、結びつき認知は40代が最も高い

 年代でみてみると、企業ロゴマーク認知度も、企業ロゴマークと企業名の結び付き認知度も、40代をピークに山を描いている。働き盛りで様々な情報を処理したり浴びたりしている40代にピークが来るのは自然なことだ。企業ロゴマーク好意度も企業ロゴマーク信頼度も、女性のほうが男性より高く、年齢が上に行くに連れ高まる傾向が見て取れる。また、好意度についても信頼度についてももっとも高いのは主婦層である。情報として、どのロゴマークがどの企業のものか、ということ以前に、買い物をする際の選択の目印として、ロゴマークを頼りにしている傾向があると思っていいだろう。

最後に:IoT時代に求められるブランディング

 若者の心にフックするブランドロゴとはどのようなものなのか。それは直観に訴求して情動にアプローチするブランドであり、体験型のブランド(例えば場を持っているなど)ということになるだろう。ファストファッションのブランドや、恐らく彼らの興味関心を惹起せしめたアップルジャパンのようなブランドなどが考えられる。今後ますます機能的な発展を遂げるであろうネット社会やIoT(Internet of Things)が進行する社会で、いかに若年層(つまり次の来るべき消費コア層)の心に刺さるブランド構築手法を探り当てるか、ロゴマークやVI(Visual Identity)という観点からは、体験提供型(エクスペリエンス)ブランディングとしての「象徴記号」をどう創り上げるかが大きなテーマである。

【山田敦郎氏のプロフィール】

グラムコ株式会社(http://www.gramco.co.jp/
代表取締役社長/エグゼクティブディレクター/エグゼクティブコンサルタント

出身 兵庫県神戸市生まれ。
略歴 慶應義塾大学法学部法律学科入学後、日本楽器(現ヤマハ)嘱託としてデザインを学び、大学在学中に企業イメージをデザインする組織を立ち上げる。
慶應義塾大学卒業後、丸紅を経て1987年にCI とブランディングを手がけるグラムコ株式会社を設立。
日本グラフィックデザイナー協会会員。内閣府沖縄美ら島ブランド推進会議座長。
手がけたCI・ブランディングは百を超え、実務の第一人者として、グラムコをアジアを代表するブランドコンサルティングファームに育成する。
著述のほかセミナー講師も多数務めている。

関連サービス

ブランド戦略サーベイ

当サイトでは、利用者が当サイトを閲覧する際のサービス向上およびサイトの利用状況把握のため、クッキー(Cookie)を使用しています。当サイトでは閲覧を継続されることで、クッキーの使用に同意されたものとみなします。詳細については、「当社ウェブサイトにおける情報収集について」をご覧ください。