株式会社日経リサーチ

新・新興国 カンボジア、消費生活の実態

~プノンペン生活者の暮らし調査より~

 中国やタイに続くアジアの「新・新興国」として注目度が増すカンボジア・ラオス・ミャンマー。急速な経済成長が期待され、頭文字を取って「CLM」と呼ばれる。

 日経リサーチは2012年にミャンマー最大の都市ヤンゴンで生活実態調査を実施したのに続き、13年6月にカンボジアの首都プノンペンとラオスの首都ビエンチャンで定性的な家庭訪問調査を実施。日常生活の様子や所有物、生活意識などをヒアリングした。

10月にはプノンペンで25~34歳の男女を対象にグループインタビューを行い、「いま興味があるもの」について幅広く若者の意見を聞いた。今回はプノンペンでの調査結果の一部を紹介したい。

テレビ・携帯・バイクは必需品

 プノンペンではまず、世帯月収400~500米ドルという中間層の家庭を訪問した。市の中心部から車で20分くらいの郊外にあり、新築したばかりのトタン屋根の一軒家だった。対象者の女性(35歳)は夫と7歳の息子との3人暮らし。近所の縫製工場で働き、夫はエアコンの販売と修理をする店に勤めている。

 所有物を尋ねた結果が図表1である。新興国では珍しくないが、白物家電より通信・AV機器を優先して購入。毎日市場に買い物に行くため、冷蔵庫はなくても生活でき、たらいで洗濯するので、洗濯機も必需品ではない。

 しかし、テレビから得られる娯楽や情報、携帯電話を使ったコミュニケーションは生活に必要だという。また、公共交通網が行き届いていないため、バイクは毎日の通勤に欠かせない。車はまだまだ憧れの存在のようだ。


図表1 中間層訪問世帯の所有物とブランド
世帯所有物 台数 メーカー/ブランド
カラーテレビ(ブラウン管) 1 不明(SONY?)
カラーテレビ(フラットタイプ) 0  
DVDプレーヤー/レコーダー 1 COECO?
デジタルカメラ 0  
パソコン(デスクトップ) 0  
ノートパソコン 0  
スマートフォン 0  
携帯電話(スマホ以外) 3 すべてNOKIA
冷蔵庫 0  
洗濯機 0  
エアコン 0  
0  
バイク/スクーター 1 HONDA
中古なら日本製 新品なら韓国製

 次に訪れた世帯月収1000米ドルという富裕層の家庭は、ほとんどすべての家電製品と車を保有していた。日本製品に対する信頼感は強く、中古で買うなら壊れない日本製品が一番だが、新品を買うなら割安で品質もそこそこ良い韓国製品がベストだという。耐久消費財は中古品を購入することが多いため、日本製品が支持されているようにみえる。

 しかし、今後、カンボジアの人たちが新品を買うようになったとき、価格・品質ともに一定の評価を受けている韓国製品に日本製品が勝てるかどうか。日本メーカーのマーケティング戦略が問われそうだ。

若者はスマホ、車、イオンに興味

 カンボジアは全人口の65%が29歳以下の若い国だ(図表2)。ポルポト派による虐殺という負の歴史を背負った若者は政治への関心が高い。選挙カーに仕立てたトラックの荷台に乗り、お祭りの山車さながらに盛り上がる若者を見かけた。グループインタビューに参加した25歳の女性は政治について情報交換するFacebookのアドレスを持つ。


図表2 2010年の年齢別人口構成


 そんな若者に「いま興味があるもの」を尋ねたところ、「スマートフォン」「車」「最新スポット」の3つが挙がった。特に話題となっているのが14年春、プノンペン中心部に開店予定のイオンモール。映画館なども入った国内最大級の商業施設で、若者だけでなく幅広い層の注目を集めている。その成否は消費市場としてのカンボジアのポテンシャルを占うものとなりそうだ。

(国際調査本部国際ソリューション第2部 鷲田恵理)

※こちらの内容は2014年2月10日発行の「日経消費インサイト」№11(通巻105号)のP.90“調査の現場から”に掲載されたものです。

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