株式会社日経リサーチ

新・新興国ラオス、富裕層の家庭を訪ねて ~ビエンチャン生活者の暮らし調査より~

 前回のカンボジアに続き、今回はラオスの消費生活を紹介したい。「CLM(カンボジア・ラオス・ミャンマー)」と呼ばれ、注目を集めるメコン川流域の「新・新興国」のうち、ラオスは人口が約639万人と最も少ない。日本での関心度も3カ国の中で一番低いのではないか。

 日経リサーチはラオスの都市生活者の「いま」を知るため、2013年6月に首都ビエンチャンで、富裕層を中心に定性的な家庭訪問調査を実施。日常生活の様子や所有物、生活意識などについて幅広くヒアリングした。

図表1 富裕層訪問世帯の所有物とブランド
世帯所有物 台数 メーカー/ブランド
カラーテレビ(ブラウン管) 3 LG、SAMSUNG、PHILIPS
カラーテレビ(フラットタイプ) 0  
DVDプレーヤー/レコーダー 1 SAMSUNG
デジタルカメラ 0  
パソコン(デスクトップ) 0  
ノートパソコン 1 SAMSUNG
スマートフォン 1 SAMSUNG
携帯電話(スマホ以外) 1 SAMSUNG
冷蔵庫 1 SAMSUNG
洗濯機 1 東芝
エアコン 0  
1 KIA
バイク/スクーター 4 HONDA3台、中国製1台
中古なら日本製 新品なら韓国製

 ビエンチャンではまず、世帯月収750米ドルの家庭を訪問した。市の中心部から車で15分くらいの郊外にあり、両親から譲り受けたという古い木造2階建ての家だった。調査対象の女性Aさん(28歳)は軍人の夫、1歳半の息子、叔母、めいとの5人暮らし。政府関係のオフィスに事務スタッフとして勤めている。夢はお金をためて家を新築することだという。

所有物とブランドを尋ねた結果を図表1にまとめた。家電製品は洗濯機が東芝製なくらいで、大半は韓国ブランド、特にサムスンだ。Aさんは「日本製品は品質は良いと思うが、韓国の方がマーケティングが上手」と話す。

 聞くと、ビエンチャン市内に韓国製の家電製品を主に扱う「K-PLAZA」という量販店があり、政府関係者や学生には頭金不要で金利ゼロのローンを提供しているという。同店を運営しているのはラオスと韓国の合弁会社で、社会主義国ラオスならではの富裕層やエリート層を狙った韓国の戦略はなかなかしたたかだ。

富裕層の台所でもコンロは練炭

 大半の家電製品を備え、車も持っている富裕層の家庭だが、台所のコンロは練炭を使っていた。次に訪れた世帯月収950米ドルという家庭もコンロは炭火だ。

 ラオスではガスの普及が遅れており、都市部の世帯でも「薪(まき)・炭併用」が39%、「炭のみ」が34%を占めている(図表2 a)。使用燃料別の平均世帯月収をみても、都市部の「炭のみ」で836米ドルと高さが際立つ(図表2 b)。炭を購入する余裕がない貧困層は、森に行けば無料で手に入る薪を使うのが主流となっている。

図表2 調理用の使用燃料と平均世帯月収(都市・地方別)
 2番目に訪問した家庭では、ラオスの伝統料理ともいえる地鶏や川魚のバーベキューは炭火が一番おいしいと言う。
 しかし、リフォーム中の台所の片隅には、最近買ったばかりだというシャープ製の電子レンジが箱に入ったまま置いてあった。安全面などを考えると、調理用燃料はガスや電気へと次第に変わっていくのだろう。

 今後ラオスは経済発展に伴い、富裕層が増え、消費者の生活も大きく変化することが見込まれる。市場規模は小さいが、日本企業にとって目が離せない国になるに違いない。

(国際調査本部国際ソリューション第2部 鷲田恵理)

※こちらの内容は2014年3月10日発行の「日経消費インサイト」№12(通巻106号)のP.88“調査の現場から”に掲載されたものです。

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