株式会社日経リサーチ

監査業界への信頼、56%が低下 相次ぐ会計不祥事など受け

日経リサーチ、監査法人に関する調査より
 大手企業の会計不祥事や監査法人に対する金融庁の行政指導が近年、相次いでいますが、日経リサーチが上場企業の財務・会計関連の責任者らを対象に実施した監査法人に関する調査で、監査業界全体に対する信頼が低下したとの回答が56%に達しました。信頼回復に必要な対策は「監査品質管理体制の強化」が過半数を占め、監査法人に期待すること・求めることも7割が「監査品質が高い」ことと答え、いずれもトップでした。
 この調査は国内の全上場企業の監査役、CFO(最高財務責任者)、IR(投資家向け広報)担当者を対象に2016年7月中旬~8月上旬に実施、949人から回答を得ました。
不祥事問題、監査法人の「責任も重い」45%
 まず、会計不祥事問題などの責任の所在を尋ねたところ、「不正を行う企業の責任が最も重い」が50.7%で最も多かったものの、「企業と監査法人のどちらの責任も重い」も45.8%に上り、企業財務のプロらは監査法人にも厳しい視線を注いでいることが分かりました。
 次に、不祥事や行政指導などを受けて、監査業界に対する信頼に変化があったか聞きました。トップは「低下した」(45.8%)で、これに「低下したが、現在は回復している」(10.2%)を加えると56.0%に達しました。半数以上の回答者は監査業界への信頼が低下し、その多くは未だに以前ほどの信頼を抱いていないという結果が出ました。ただ、信頼は以前と「変わらない」との回答も42.1%ありました。
 監査業界に対する信頼に変化があったか
監査法人への期待は「品質」、信頼回復にも不可欠
 では、監査法人の信頼回復にはどのような対策が必要か、複数回答で選んでもらった結果、「監査法人の監査品質管理体制の強化」が55.4%と、過半数の支持を集めて首位になりました。2位以下は「公認会計士の経営者と対峙する力の向上」(43.1%)、「公認会計士の不正を見抜く力の向上」(41.2%)、「公認会計士のプロフェッショナル意識の向上」(39.7%)と続き、会計士の能力や意識の向上が信頼回復に不可欠との指摘が上位を占めました。企業とのなれ合いを防ぐため、欧州で今年から導入された「監査法人の定期的な変更の法制化」は13.2%が必要と答えました。
 監査法人の信頼回復にはどのような対策が必要か
 監査法人に期待することや求めること(複数回答)でも、「監査品質が高い」が70.1%で首位になり、企業側が品質の高さを重要視していることが分かりました。2位は「監査チームや個々人の会計士が優秀である」(64.8%)で、ここでも会計士が注目されているようです。僅差の3位で「クライアントに対する理解度や関心が高い」(64.1%)が続き、やや水をあけられる形で「情報提供力に優れている」(44.9%)が4位に入りました。上位に監査法人のサービス水準に関する項目が並ぶ中、5位の「監査報酬が妥当」(44.5%)が目を引きます。業界内の顧客の奪い合いで監査報酬の伸びは頭打ちと言われますが、不正を防ぐために必要なコストとしてどの程度の水準が適切か、議論の余地がありそうです。
 監査法人に期待することや求めること
当サイトでは、利用者が当サイトを閲覧する際のサービス向上およびサイトの利用状況把握のため、クッキー(Cookie)を使用しています。当サイトでは閲覧を継続されることで、クッキーの使用に同意されたものとみなします。詳細については、「当社ウェブサイトにおける情報収集について」をご覧ください。