株式会社日経リサーチ

リピート率&満足度90%! マークイズみなとみらいが地元ファミリーに愛される理由

2つの調査を生かした地域密着型マーケティング戦略
 多くの商業施設が立ち並ぶ横浜・みなとみらいエリア。その激戦区の中にあって、5キロ圏内の居住者のリピート率も来店者の満足度もともに90%を誇る、地元のファミリー層を中心に絶大な支持を集める施設がマークイズみなとみらいだ。その背景には、2013年のオープン当初から毎年、商圏調査や来店者調査を定点で行い、その動向を常に把握してブランディングや店舗施策に生かすというマーケティング戦略がある。地元住民に愛されるための、調査を活かした施設運営のノウハウを館長の羽渕徹氏に取材した。
地元の皆様の”共感”をもらい、一緒に街づくりができる施設を目指して

―毎年の商圏調査や来店者調査によると、地元のファミリー層のリピート率や満足度がともに90%前後と、非常に高水準で維持されています。多くの商業施設があるみなとみらいで、こうした結果が出ている理由はどこにあると思いますか?

館長「当館は各フロアに30カ所以上設置したテーマを持ったシーティングスペースや、地域やテナント様と連動したイベントなど、販売面だけでなく、時間を楽しんでいただく場所とコトを提案しており、それが地元の皆様、特にファミリーの方々に評価されているのかなと思います。我々は非日常的なみなとみらいエリアにおいて、日常の新しい暮らしを創り出すことをテーマにオープン当初から取り組んでいます。そこからぶれないよう、テナント様の力も借りて、街全体を作り上げる取り組みを続けています」

―お客様の日常をより豊かにするため、施設作りでは具体的にどのような取り組みに注力されていますか?

館長「まず、デジタルコミュニケーションです。我々のメインターゲットである30~40代の方々にリアルタイムで情報発信することを重要視しています。オープン前の2011年ごろから、発信の仕方やコミュニケーションの取り方について、数社の例を参考にしながらかなり勉強をしました。特に、当時急速に普及し始めたスマートフォンやSNSと、店の価値観をどう掛け合わせるのが正解なのかを研究し、大人のコミュニケーションツールとして確立されていたフェイスブックをチョイスしました。ただ、フェイスブックは施設と街のブランディングツールとして位置づけて、セールスの話は一切しません。地元で行われた季節イベントの話題やものづくりの話など、買ってもらうためではなく、みんなに心地よく”共感”してもらえる情報を愚直に発信しています。3年半経ち、今ではフォロワーは5万5000人まで伸び、各種調査でも評価されています」

―ターゲットから共感してもらうことを第一に考えたデジタルコミュニケーションが、好感に繋がっているということですね。

「もちろんそれだけではなく、テナント様の現場での販売や接客の力も大きいです。2014年から日経リサーチ「ストア戦略サーベイ」の調査結果で顧客リレーションの項目(「顧客として大切にされていると感じている」)の評価がずっと上がっているのはその力ではないでしょうか。また、マークイズみなとみらいのホームページは店舗側から自由に当日のセールス情報などをアップできる仕組みになっています。1日に30~40件ほどの情報が更新され、地元の方のリピート率にも大きく影響しています。施設とテナント様によるデジタルと店舗が一体となったコミュニケーションで顧客リレーションが上がっているのだと思います」

-デジタル以外の部分で、コミュニケーションについて意識されていることは?

「施設として何ができるのかという点で意識しているのは、地域の皆様にご参加いただける取り組みです。2013年のクリスマスから半年に1回、近隣のマンションにお住いの皆様にご案内をし、一緒に何かを作り上げるイベントを企画しています。例えば、施設内のシンボルとなるクリスマスツリーを一緒に飾り付けたり、昨年の夏には防災意識の向上と街のコミュニティー作りというテーマで、テナントのスノーピークさんにご協力をいただき、当館の向かいに建つ横浜美術館との間のグランモール公園でテントを張って泊まってもらったり、様々なイベントを実施しています。2014年6月にはみんなで瓶を使ったアート作品を作り、その本数でギネス記録に認定されました」

-ギネス記録ですか。地元の皆さんと一緒に活動することで、施設への信頼や心地よさを感じてもらう、素敵な仕掛けですね。

「自分たちも一緒にマークイズみなとみらいを作っている、という気持ちを持っていただくきっかけになれば嬉しいですし、お越しいただく機会やコミュニティーを作ることは、我々がやらなければならないことだと思っています」
商業施設として大切なことは、変わらない結果を出し続けること

―そうした施策の成果について、毎年、来店者調査と商圏調査を定期的に実施して、“見える化”されていますね。

「調査という点では、自社でもカードデータ分析やWebデータ解析など様々な手法でやっていますが、日経リサーチのような第三者の視点で結果が数字として出てくると、とても分かりやすいです。何より、前年と比較して調査結果の変化が見えることがすごく重要です。たとえ前年と同じ結果だったとしても、それが分かることが貴重であって、それが次年度の運営計画にも関わります」

―調査結果のどのような点を指標として重要視し、施策に生かしているのでしょうか。

「見るべき点はたくさんありますが、来店者のプロフィール、特に年齢は詳細に見ています。商業施設としてはやはり購買力のある30代の方に買ってもらわなければならない。でも、今のお客様も当然いつまでも30代ではないわけで、施設オープンから10年経ち、メインターゲットの年齢も10年上がってしまうのは良い傾向ではありません。施設のコンセプトと共に、ポジショニングもそのままであり続けることは一番大事にしています」

―結果が変わらないことが重要というのは面白いですね。

「例えば、お客様の平均年齢が昨年の39歳から今年40歳になったとすると、大きな話です。30代と40代ではライフシーンが変わりますし、幼稚園のお子さんが小学生になるだけでライフスタイルも変わります。今のお客様の日常に常に寄り添っていく一方で、メインターゲットは変えない、となると店作りにも影響してきます」

―メインターゲットを維持し続けるにはテナントとの協力体制も重要になってきますね。

「メインを引き止めておくにはテナント様が全てです。当館の全テナント様が集まる年1回の営業報告会でこの定点調査の結果を公表し、テナント様の戦略にも活用してもらっています。変化があった時は、今後のポジショニングを話し合う材料にもしています」

―今後、調査について、より詳しく見ていきたいポイントややってみたい活用方法などはありますか?

「色々やりたいことはありますが、まずは自社のデータ情報と日経リサーチの調査結果でクロスしている部分を詳しく見ていきたいと思っています。例えば、年齢も10歳刻みではなく、5歳刻みだとどう動くのか。大きな節目だけだと大きくしか捉えられないので、より細分化して詳細に見ていきたい。30代前半が多いのか後半が多いのかという細かい情報でも戦略は全く変わり、今後の店作りの新たな基準になる可能性もあります」

―データをより細かく見ていくことは、今後も愛され続ける施設であるために欠かせないと言えそうですね。

「みなとみらいという環境は立地的にも商業施設にとって非常に恵まれていて、逆にデータの小さな変化は実感として出てきづらいのかと思います。そのことをみんなで自覚し、小さな変化も見落とさず、常に愛されるために対応していける施設が理想です。その意味で、細かくデータを見ていくことはスタッフのモチベーションにも重要だと思っています。」

―なるほど。今現在、調査の存在はスタッフのモチベーションアップに繋がっていますか?

「いや、まだまだです。これからに期待します(笑)」
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