株式会社日経リサーチ

老後の資産形成、会社員のiDeCo加入者は予定含めてもまだ8.7%

金融総合定点調査「金融RADAR」最新版の結果から
 2017年1月から個人型確定拠出年金制度が「iDeCo(イデコ)」としてリニューアルされ、公務員や主婦など20~60歳(現役世代)の大半が加入できるようになりました。税制上の優遇措置もあることから、老後の資産形成の有力な手段のひとつとして、少額投資非課税制度(NISA)などとともに取り上げられることが多い「イデコ」ですが、実際の加入実態はどうなっているのでしょうか。
 今回は1983年から始まった金融総合定点調査「金融RADAR」最新版の結果から、5年前と比べた一般世帯の貯蓄・投資総額や保有金融商品の変化をたどるとともに、「イデコ」の加入実態や加入者と非加入者の金融に関する意識や行動の違いについて分析しました。
 なお、今回の調査は昨年10~11月に首都圏40キロメートル圏内に居住する、20歳以上男女がいる世帯を対象に実施し、2823世帯からご回答をいただきました。
5年前と比較した世帯ごとの貯蓄・投資総額と金融商品保有状況の変遷

①資産保有ボリュームがリタイア層へシフト、現役世代にも新保有層の兆し
 年齢別に世帯の貯蓄・投資総額を見ると、5年前に比べ、60~65歳未満で1,000万~2,000万円未満の層が0.9ポイント、65~70歳未満で600万~1,000万円未満の層が1.0ポイント、70~75歳未満で2,000万~3,000万円未満と5,000万~1億円未満の各層が0.6~0.7ポイント増えており、リタイア層の資産保有ボリュームが拡大しています。現役世代では、50~55歳で1,000万~2,000万円の層が0.9ポイント、3,000万~5,000万円の層が0.7ポイント増加する一方、30~40代で100万~300万円未満と300万~600万円未満の層が最大1.3ポイント減少しています。30~50代でも100万円台から1,000万円台へ、より高額な資産保有層が台頭しつつあるのかも知れません。
【年代別・貯蓄投資総額の分布】 横軸は年代、縦軸は貯蓄投資総額
 年代別・貯蓄投資総額の分布

②金融商品の保有層が30代にも拡散、人気は円建て債、投信・ETF
 年齢別に金融商品の保有層を見ると、5年前は50代以上に集中していたのに対し、現在は30代でも各商品の保有が進んでいるようです。特に、35~45歳で円建て債券、55歳以上では円建て債券に加え、投資信託・ETF、最近の株高を反映してか株式での運用が目立ちます。保有商品の種類でも、円建て債券、投資信託・ETF、株式の保有層が広がりを見せています。対照的に外貨建て貯蓄・投資商品は60歳以上に人気ですが、保有額は減少しています。若年層では若いうちに加入するほどメリットが大きい個人型確定拠出年金(イデコ)を除き、金融商品の保有は依然として少ないままです。
【年代別・保有金融商品の分布】 横軸は年代、縦軸は保有金融商品
 年代別・保有金融商品の分布
個人型確定拠出年金(イデコ)への加入実態

① 会社員の「イデコ」の加入者(加入済み・加入予定)は現時点で全体の8.7%にとどまる
 今回、制度のリニューアルによって、ほとんどの会社員が「イデコ」に加入できるようになりました。そこで、「イデコ」への加入資格がある、企業型確定拠出年金に非加入の会社員を対象に、加入実態などを分析してみました。調査を実施した昨年10~11月は制度がリニューアルされる前で、個人型確定拠出年金に加入できる会社員は、勤務先に企業型確定拠出年金の制度がない人たちに限られていました。このため、個人型確定拠出年金に「すでに加入している」は6.2%、「加入する予定で、すでに加入手続きをした」が0.3%、「加入する予定だが、まだ加入手続きはしていない」が2.2%で、合計しても会社員全体の8.7%にとどまりました。一方、「加入する予定はない」は25.7%、「特に決めていない」は65.4%で、会社員の中で非加入者は91.1%に達しました。また、制度のリニューアルで今年から加入の対象となった公務員では加入者(予定を含む)は6.5%、主婦では3.2%と、会社員をさらに下回る水準でした。

② 加入者は非加入者(加入予定なし・決めていない)に比べて世帯年収や貯蓄・投資総額に余裕がある
 会社員の加入者と非加入者の属性を比べると、加入者は非加入者層を、平均世帯年収で130万円以上、貯蓄・投資総額で500万円以上上回りました。また、老後の生活資金の年間必要額を聞いたところ、加入者と非加入者層で3万円の差しかありませんでしたが、退職・引退時の準備目標額では120万円以上の差がありました。
【個人型確定拠出年金の加入状況】
 個人型確定拠出年金の加入
【個人型確定拠出年金加入者と非加入者のプロフィール】
 個人型確定拠出年金

③ 加入者は「豊かな老後」「そのための資金運用」に意欲的
④ 非加入者は「専門家への資金計画の相談」も資産運用も消極的
 会社員で、加入者の85.3%が、非加入者でも79.5%が、「老後の生活資金に対する不安」を抱いています。一方、加入者は「老後は現役時代と同じか、それ以上に経済的に豊かに暮らしたい」「多少無理をしてでも、老後のために貯蓄や年金で蓄えようと思う」が、いずれも非加入者を10ポイント以上上回ります。さらに、「資金計画について専門家に相談してみたい」も、加入者では48.5%に達していますが、非加入者は28.5%にとどまり、消極的な様子がうかがえます。 非加入者は資産運用についても消極的なようです。老後の資金のために運用している、または運用したい金融商品を見ると、非加入者はそもそも「金融商品への預け入れは考えない」が37.5%と加入者(13.2%)を大きく上回りました。更に、いずれの金融商品についても預け入れ意向が低く、特に、定期預貯金、外貨預金、株式、投資信託は加入者と比べて10ポイント以上下回ります。
【老後の備え、老後への意識】
 老後の備え、老後への意識
【老後の資金をどの金融商品で運用したいか(しているか)】
 老後の資金運用
 制度改正により、新たに加入可能者が約2600万人も拡大するとみられる「イデコ」ですが、実際に加入者を増やしていくには、老後の不安を解消するための有力な資産形成法のひとつであることを打ち出し、いかに若年層や消極派を取り込めるかが鍵となりそうです。
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