株式会社日経リサーチ

多様なコミュニケーション施策
経営の想い、社員に浸透

【連載】日経「スマートワーク経営」調査2018 分析と先進事例(7)
 企業の持続的発展には、最も重要な経営資源である従業員の能力を最大限に活用することが欠かせません。5回目は人材育成を目的とした企業研修のトレンドを人材開発大手、株式会社セルム(http://www.celm.co.jp/)の執行役員 安池智之氏に見解を伺うとともに、人材投資を積極的に行っている先進企業の事例を紹介いただきます。さらに、6~7回目では日経「スマートワーク経営」調査2018で実施した従業員調査にご協力いただいた企業が取り組む人材活用策の具体例をご紹介します。
smartwork経営 星4.5
アフラック生命保険

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エンゲージメント
 がん保険契約件数No.1のアフラック生命保険は、経営ビジョンや戦略に従業員が強く共感している会社だ。同社は、2018年度日経「スマートワーク経営」調査従業員編で「経営戦略共感度」が他のどの企業よりも高い。「職場では労働時間の長さよりも生産性の高い働き方が評価されている」との回答割合もトップクラスだった。この背景として、コアバリュー(基本的価値観)に対する理解の浸透や、ダイバーシティの推進および働き方改革に同社が多角的に取り組んできたことがあげられる。

経営陣に社員が「いいね!」
 アフラックには「がんに苦しむ人々を経済的苦難から救いたい」という創業の想いや、ブランドプロミス「『生きる』を創る。」をはじめとしたコアバリューを知らぬ者はいないと聞く。これらのコアバリューに共感して入社した社員も数多い。しかし、企業がコアバリューをさらに浸透させていくためにはきめ細やかで継続的なフォローアップが不可欠だ。アフラックの取り組みでまず目を引くのは、多様な社内コミュニケーション施策だ。
 一例が経営陣による社員とのラウンドテーブル方式によるタウンホールミーティングだ。10~20人が参加して職場単位で開催し、開催回数は過去5年間で65回に及ぶ。古出眞敏(こいで・まさとし)社長をはじめとする経営陣が全国各地に足を運び、社員の声に直接耳を傾ける。また、全社社員に対し、毎週月曜日に全国の拠点に衛星配信するビデオニュースや、イントラネットで配信する社内報などでもコミュニケートしている。ここでは社長をはじめ経営陣からのメッセージや、各職場の課題や取り組みといった最新の情報が共有される。イントラネットの社内報では双方向でのやり取りも可能で、例えば経営陣のメッセージに対し社員が自由に「いいね!」を送信できる仕組みになっている。今年はさらに全社員を対象としたe-ラーニングの実施や経営陣によるビデオニュースでの発信を通じ、コアバリューを浸透させていく。
ダイバーシティを推進
 こうした経営の想いに対する社員の理解を土台に、イノベーション企業文化の構築に向けて、アフラックはダイバーシティの推進と働き方改革を進めている。ダイバーシティ推進の第一歩として、アフラックは女性の活躍推進に取り組み、指導的立場に占める女性社員の割合を20年末までに30%以上に、また、ライン長ポストにおける女性社員の割合を25年末までに30%以上にする目標を掲げ、これに向けたマイルストーンを着々と達成している。
 また、働き方改革の取り組みの一つとして、全社員が「時間と場所にとらわれない働き方」を実現できる環境を整え、フレックスタイム制度や在宅勤務を広く社内に導入している。アフラックの特徴はこれらの制度の使い勝手がよいことだ。フレックスタイムはノンコアタイムの部署が多い。在宅勤務は複雑な手続きが不要で、毎年1回申請書を提出すれば在宅勤務する日は所属長に口頭やメールで事前報告するだけでよい。リモート端末のログオフ時間を出勤簿と照合してモニタリングするなど勤怠管理も徹底している。これらの施策が奏功し、同社の1人あたり所定外労働時間は、15年は月33時間だったが、現在は月20時間余りと3分の2まで削減された。同社の所定労働時間は1日7時間であり、法定労働時間ベースでは残業ゼロまであと一歩だ。
会社概要
長時間労働の改善につながる
 アフラックの取り組みは良いサイクルで進んでいる。しかし、今後の課題もありそうだ。同社では長時間労働が改善され、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境も整いつつある。これをどのようにして付加価値の高い仕事の実現につなげ、さらに社員自身のライフの充実に結びつけていくのか。それが同社の次のステップとなりそうだ。


 
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