従業員の意識から人材活用の効果を分析
ビジネスパーソン1万人調査
【連載】日経「スマートワーク経営」調査2018 分析と先進事例(11)
コラム
- 日経スマートワーク

企業競争力を高めるには、企業が制度・しくみを整えるだけでなく、従業員の共感・働きがいを高めることが重要です。日経「スマートワーク経営」調査2018で実施した「ビジネスパーソン1万人調査」の結果から、従業員の意識を通して、スマートワーク経営を支える人材活用の効果と課題を浮き彫りにします。

企業の持続的発展にとって、最も重要な経営資源である従業員の能力を最大限に活用することが欠かせない。「ビジネスパーソン1万人調査」の結果から、制度・しくみが十分に活用されていると感じる人の働きがいは高く、さらに働きがいが高いと感じる人のパフォーマンスが高いという傾向が見られた。日経「スマートワーク経営」調査2018と合わせて分析したところ、スマートワーク調査の高評価企業に勤めるビジネスパーソンの働きがいが高いという結果も得られた。
働き方改革の効果を示す3つの傾向
働きがいとパフォーマンス


1つめには、勤め先が「自分にとって働きがいがある会社」(以下では「働きがいがある」)と思っている人ほど、パフォーマンスの代理指標と考えられる仕事に対する集中力が高い傾向があることが分かった。回答者を働きがいの高さによって「高」「中」「低」の3つのグループに分けて、仕事に対する集中力を何パーセント発揮できているかを自己評価で答えてもらった。「高」のグループでは67.9%と、「低」のグループの45.8%の1.5倍高い結果となった。
「経営ビジョンや経営戦略」への共感による「働きがい」の差異


2つめの傾向は、自社の経営ビジョンや経営戦略に共感している人では、「働きがいがある」と思っている割合が高いことだ。76.7%と8割近くを占めるが、そもそも経営ビジョンや経営戦略がない・知らないと回答した人や、知っていても共感していない人では、働きがいがあると思っている人は2割にも満たない。このことは、働きがいを高めるには経営ビジョンなどで示される理念への共感が重要になることを示している。
人材活用に関する全体的な取り組み・制度段階による「働きがい」の差異


3つめの傾向は、人材活用の取り組み・制度の活用が働きがいを高めるということ。人材活用のための「ダイバーシティの推進」「多様で柔軟な働き方実現」「人材への投資」など5つのテーマについて活用がどの段階にあるかを尋ね、その段階で3つのグループに分けた。その結果、どのテーマでも、「取り組み・制度が十分に活用されている」と答えた従業員のほうが、「あまり活用されていない」または「取り組み・制度がない」と答えた従業員に比べ、「働きがいがある」人の割合がかなり高くなった。
例えば、「従業員の働きがい・モチベーションを向上させる」取り組み・制度では、「十分に活用されている」と答えた人では「働きがいがある」と思っている人は70.4%と7割を超えた。この割合は、「取り組み・制度がない」と答えた人での29.3%を41.1ポイント上回っている。
例えば、「従業員の働きがい・モチベーションを向上させる」取り組み・制度では、「十分に活用されている」と答えた人では「働きがいがある」と思っている人は70.4%と7割を超えた。この割合は、「取り組み・制度がない」と答えた人での29.3%を41.1ポイント上回っている。
スマートワーク調査の高評価企業では、従業員の経営ビジョンへの共感、働きがいが高い

1万人調査の回答者のうち勤務先がスマートワーク調査で高い評価を得た企業の従業員では、経営ビジョン・経営戦略に共感している人や、働きがいがあると思っている人の割合が高い傾向があった。具体的には、偏差値が60以上の企業の従業員のなかで、経営ビジョン・経営戦略に共感している人の割合は45.6%で、偏差値50未満(34.7%)に10.9ポイントの差を付けている。「働きがいがある」と思っている人の割合は53.0%で、偏差値50未満企業を6.9ポイン上回っている。
スマートワーク調査に回答した企業は、人材活用の取り組み・制度の活用が進んでいる
人材活用に関する全体的な取り組み・制度の活用状況


1万人調査の回答者を勤務先がスマートワーク調査に回答しているかいないかでグループに分けると、スマートワーク調査回答企業の人材活用についての制度・しくみの活用レベルが高いことも分かった。5つのテーマ全てで10ポイント程度上回る。スマートワーク回答企業の働き方改革は進んでおり、調査の評価が低くなった企業も、決して上場全社の中では取り組みが遅れているわけではないということが言える。
ビジネスパーソン1万人調査概要
調査方法 | インターネット調査 |
---|---|
調査対象 | 提携インターネットパネルに登録の上場企業にお勤めの正社員 |
調査実施期間 | 2018年9月7日~12日 |
回答者数 | 10,000人 ※勤務先による1万人の内訳: 回答企業=3,931人、非回答企業=3,198人、不明=2,871人 |
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