株式会社日経リサーチ

消費増税後、着実に増加する
キャッシュレス決済

 2019年10月の消費増税に伴う景気対策として、店舗でキャッシュレス決済をするとポイント還元などが受けられる「キャッシュレス・消費者還元事業」が導入された。各決済事業者がユーザー囲い込みに向けキャンペーン施策を盛んに実施するなどキャッシュレスの注目も高まっており、その普及度は気になるところだ。そこで、日経リサーチは2019年5月末に続き、11月末にも延べ約1万人を対象に「キャッシュレス決済に関する調査」を実施し、各種支払い方法・サービスの認知や利用状況の変化を確認した。
コンビニ、スーパーでも6割がキャッシュレス決済に
 現状では、どのくらいキャッシュレス化が進んでいるのか。アンケートでは回答日前日の実際の支払いについて、どんな手段で決済したのかを聴取した。現金以外の支払いを「キャッシュレス」と定義し、業態別に使用された決済方法をみると、家電量販店、コンビニ、スーパー、ドラッグストアはいずれも6割強がキャッシュレスという結果になった。前回調査ではキャッシュレス比率が約4割であった飲食店(コーヒーショップ・ファーストフード・ファミレス)も、今回調査では半数以上がキャッシュレスだった。
グラフ1:店舗別の支払い方法
店舗別の支払い方法

※飲食店はコーヒーショップ・ファーストフード・ファミリーレストランを聴取
 では、この半年間で消費者の支払い方法はどう変化したのか、詳しくみてみる。グラフ2は消費増税前の前回の調査結果と今回の調査結果を比較し、業態ごとに利用決済方法の比率(%)の差分(ポイント)を表したものである。増加の値が大きいものほど、11月末にかけて利用が増えた決済方法であることを示す。
 これをみると、5つの業態すべてで現金の利用が減っているが、特にドラッグストアとコンビニでの現金払いは10ポイント以上減少しており、キャッシュレス化が急速に進んでいることがわかる。そのドラッグストアとコンビニではQRコード決済の利用割合が5ポイント以上伸びており、キャッシュレス化を牽引しているといえる。
グラフ2:店舗別の支払い方法の増減(2019年11月末と2019年5月末比較)
グラフ2:店舗別の支払い方法の増減(2019年11月末と2019年5月末比較)

※飲食店はコーヒーショップ・ファーストフード・ファミリーレストランを聴取
消費者が利用を増やした決済方法は?
 では、様々な決済サービスの中で、消費者はどの支払い方法を増やしたのか。今回調査では支払い方法ごとに、消費増税前後での使用頻度の変化も聞いた。頻度が「増えた」という回答割合(%)と「減った」という回答割合(%)の差分をDI値として算出したところ、最も値が大きかったのは「クレジットカード」、続いて「PayPay」だった。「現金」はマイナス26ポイントと、大きく使用頻度が減っていることがわかる。
表1:消費税増税前と比べた使用頻度の増減
決済方法 種類 DI値(pt)
(「9月より増えた」-「9月より減った」)
クレジットカード - 19.0
PayPay QRコード決済 15.4
交通系電子マネー 電子マネー(ICチップ型) 7.9
楽天ペイ QRコード決済 6.8
d払い QRコード決済 4.2
楽天Edy 電子マネー(ICチップ型) 4.1
LINE Pay QRコード決済 3.6
現金 - -25.5
新規獲得の「PayPay」と既存増加の「クレジットカード」
 使用頻度が増えたクレジットカードとPayPayだが、消費者が利用を開始した時期は大きく異なっている。使用頻度の変化とともに、その支払い方法を増税前(9月以前)から利用しているか、増税後(10月以降)から利用しているかを尋ねた。その結果、クレジットカードユーザーのうち約8割は9月以前も利用しており増税後に利用頻度を増やしていた。一方、PayPayはユーザーの約4割が10月以降に利用を開始しており、新規ユーザーを多く獲得していることが明らかになった。
グラフ3:支払い方法ごとの新規利用開始率(10月以降)
支払い方法ごとの新規利用開始率(10月以降)
PayPayの利用店舗は「コンビニ」「ドラッグストア」
 QRコード決済を代表するPayPay利用者の支払い方法を業態ごとにグラフ化した(グラフ4)。全体と比べて、PayPay利用者はコンビニで「QRコード決済(PayPayを含む各種QRコード決済)」を最も多く利用していることがわかる。また、ドラッグストアではQRコード決済とクレジットカードの利用が拮抗している。一方でPayPay利用者ですらQRコード決済をあまり使用していないのがスーパーや飲食店である。スーパーではクレジットカード、飲食店では現金の利用が多い。QRコード決済で支払いができる店舗が増えてきたものの、すべての業態に浸透しているとはいいがたい。
 大規模なチェーン展開をしているコンビニやドラッグストアと異なり、スーパーや飲食店では、まだQRコード決済を導入していない店舗も多い。導入していても対応しているのは一部のレジのみ、というスーパーもある。
グラフ4:PayPay利用者の業態ごとの支払い方法※10月以降利用頻度減の人は除く
PayPay利用者の業態ごとの支払い方法
 「キャッシュレス・消費者還元事業」によりキャッシュレス決済の利用者は着実に増えており、今後もキャッシュレス決済が利用可能な店舗は拡大するだろう。スーパーや飲食店でも多様な支払い方法を選択できるようになったとき、消費者はどの方法を選択するのか。現金からどのキャッシュレス決済に移行するのか、クレジットカードからQRコード決済への乗り換えの流れは起きるのか。クレジットカードとQRコード決済が併存関係にあるドラッグストアでの動向が、今後の消費者の動きを探る1つの材料となりそうだ。
 今回の調査結果から、男女別、年代別など、より詳細な分析を行うことも可能です。ご興味のある方は下記フォームからお問い合わせください。
「キャッシュレス決済に関する調査(2019年11月)」調査実施概要
  平日編 休日編
調査概要 2019年11月27日(水)~28日(木) 2019年11月24日(日)~25日(月)
※回答者には、回答の前日の購買行動について聴取
調査対象 全国の一般個人
回答者数5,364人
全国の一般個人
回答者数5,122人
※今回のコラムでは、平日編と休日編を合算して集計しています。同一回答者がいた場合、支払い方法の利用頻度の変化を尋ねた質問の集計には、先に実施した休日編の回答をもとにしています。
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