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約6割が中長期経営計画でSDGsに言及先進企業では具体的KPIへの落とし込みが進む

7272_ext_03_0 日経リサーチは日本経済新聞社が2019年に初めて実施した「SDGs経営」調査の結果を独自に分析しました。「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」などテーマごとの日本企業全体の取り組み状況や、高評価企業の取り組み事例について紹介します。掲載は毎週木曜日、10回を予定しています。
 今回は各企業のSDGsに関する方針・計画の策定と、各社が掲げるSDGsの目標について紹介します。

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 近年、世界の潮流に乗り、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など日本の機関投資家の間でESG(環境・社会・企業統治)投資が広まりつつある。ESG投資の評価軸としてSDGsへの貢献が重視されており、SDGsへの貢献を経営計画に掲げて積極的に発信する企業が増えてきた。
 2019年に実施した『日経「SDGs経営」調査』で、環境・社会・経済の課題解決(SDGsへの貢献)に対する方針・計画の明文化について尋ねたところ、回答企業の77.6%が何らかの形でSDGsについて明文化していた。明文化の方法としては「企業行動に関する規範・指針・宣言」(66.1%)、「企業理念」(63.9%)、「中長期経営計画」(57.8%)が多かった。

図1 SDGsへの貢献に対する方針・計画の明文化

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貢献を掲げる目標、製造業「環境対応」、
非製造業「働きがい・まちづくり」

 具体的に挙げているのはどの目標か。調査では中長期経営計画で貢献を掲げるSDGsの目標について聞いた。各社とも本業とかかわりのある目標を掲げるため、業種により重視する目標は大きく異なる。製造業では「気候変動に具体的な対策を」(63.1%)、「つくる責任つかう責任」(58.4%)の割合が高く、非製造業では「働きがいも経済成長も」(47.6%)、「住み続けられるまちづくりを」(44.5%)が多かった。

図2 中長期経営計画で貢献を掲げるSDGsの目標

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上位企業と中位企業、具体的KPIへの落とし込みで差

 統合報告書など公表資料でのSDGsへの言及も進んでいる。SDGsについて公表資料に記載のある企業に内容を聞いたところ、割合が高かったのは「経営トップによる推進方針の説明」(75.3%)、「SDGsの17の目標への貢献」(66.2%)、「目標年度と数値を明記した具体的なKPI」(50.7%)の3項目だった。
 この3項目について『日経「SDGs経営」調査』の総合偏差値別でみると、「経営トップによる推進方針の説明」では上位企業と中位企業で大きな差が見られないのに対し、「SDGsの17の目標への貢献」「目標年度と数値を明記した具体的なKPI」では差が開いた。特に「目標年度と数値を明記した具体的なKPI」は偏差値65以上の企業が94.1%なのに対し、偏差値50~55未満の企業では45.4%と大きな開きがあった。SDGsの推進に経営トップの関与は欠かせないが、SDGs先進企業となるには、掛け声だけでなく具体的な数値目標に落とし込むことが重要であるといえるだろう。

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「SDGs経営」推進プロジェクト 堀江晶子


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次回のテーマは「高評価企業の社内浸透策」です。

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