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コロナで加速する中国のオフィスビルのデジタル化と換気システムの普及

各国が経済再建と新型コロナウイルスの感染拡大防止策の両立に格闘する中、いち早く、新しい日常を取り戻し、経済の立て直しを急ピッチで進める中国。 テレワークも浸透する中、多くの人々がオフィスでの勤務に戻っている。そこには、以前とは違う働き方や設備があった。本リポートでは、最新のオフィス事情に着目し、デスクリサーチと業界関係者へのインタビューから現在と今後の市場動向に迫る。
進化する中国オフィスビル
北京や上海などのオフィスビル市場は、この30年で大きく変貌した。基本ニーズのみを満たせる1.0ステージからスマート化を目指す3.0ステージに進化している。
 
図1:中国オフィス市場の新規供給、吸収需要、空室率予測
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出典:『不動産市場展望レポート2020 グレーターチャイナ』より。CBRE研究部 2020年2月

中国のオフィス市場は新型コロナの感染拡大により、需要と供給の両方の影響を受けている(図1)。空室率が上昇しており、オフィスビルの競争力を高めるために、設備や機能の差別化と、ビルの付加価値を高めたサービスが不可欠になっている。特にIoT、AIなどの普及で、オフィスビルは高度なレベルでスマート化が進んでいる。
また、職場に生活の要素を加えるという発想の「コ・リビング」が流行しており、物理的なニーズだけでなく、そこで働く人の感情的なニーズも満たそうとしている。もっと便利に、高効率かつ生産性の高い職場環境を提供することがトレンドになっている。例えば、中国政府が促進するスマートシティ構築の足がかりである「スマートパーク」では、オフィスビル、住宅、商業、ホテルなど異なる機能を一堂に揃え、かつ情報の一元化で管理の一体化を進めている。
変わるオフィス設備
新型コロナの影響で消費者の健康意識が大幅に向上し、その傾向はオフィス設備にも表れている。非接触でも利用できるスマート製品の利点がさらに顕著になり、非接触型入退管理システム、非接触型エレベーター、音声制御システムなど様々な場面で使用が進んでいる。また、オフィスビル、商業施設とも換気が重視され、人が交差することによる感染を予防するため、オフィスビルの換気に関する規定が中国政府により策定された。それに伴い、家電メーカーは健康関連製品の研究開発を強化している。
 
図2:2012-2019年の中国新風システム市場規模と成長率
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 出典:商業新知(https://www.shangyexinzhi.com/
 注釈:新風システムとは、エアコンなどが作動している室内でも室温や湿度を変えずに換気できるシステム。


図2で示したように、新風システム(換気システム)の市場規模は年々拡大している。特に公共施設・ビルでのニーズが大きい。『2017-2021中国新風システム産業発展状況と投資戦略調査報告書』によると、2020年中に新風システムの市場規模は500億元(約7000億円)に達する可能性がある。他国と比べて新風システムの普及率が低い中国市場は、これからさらなる発展が見込め、日本企業にとっては大きなチャンスといえそうだ。
日本企業のこれからの課題
専門家のインタビューからは、中国オフィス市場の今後の発展の傾向が見えるとともに、日本企業が解決しなければならない課題もいくつか見えてきた。
課題1-現場のニーズに即したシステム作り
伝統のオフィスビルとは異なり、今は人のアクセス、駐車、食堂の消費、監視、エレベーターの制御など様々な機能が独立的なオペレーションではなく、データに基づいた一元管理が進んでいる。これを確実に実行するためには、働く人たちの行動情報の共有とシステムとの効果的な連携が必要になる。日本企業の高機能なシステムを生かすためには、働く人の行動や意識の変化を理解することが重要になる。
課題2-ブランドイメージの向上
日本ブランドは優れた性能と品質で、ユーザーに広く認められている。一方、高価格の印象があり、コストパフォーマンスの面では課題がある。特にエアコンやエレベーターなどは高級オフィスビルでは採用される機会も多いが、一般的なビルでの浸透は進んでいないようだ。日本ブランドは付加価値の創造と宣伝強化による認知度向上で、従来のイメージを変え、「Good for value」の印象をあたえる必要がある。
課題3-ポテンシャルが高い分野での認知度の向上
商用新風システム、セキュリティシステム、浄水システムなどの分野において、アメリカ、ドイツブランドに比べ、日本ブランドの認知度と使用率は低い。例えば、新風システムの分野において、家庭用製品市場ではパナソニックやダイキンなどが高い認知度を持っている。しかし、デベロッパーやオフィスビルのインテリア会社との連携は少なく、大きな成長余地があると考えられる。特にオフィスビルにとって新風システムの設置は不可欠で、関連分野での認知度を高めることで、より多くの連携が達成されることが期待できる。
▼インタビューの採録はこちらをご覧ください。

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