株式会社日経リサーチ

トップ3はオムロン、住友化学、味の素
「事業によるSDGsへの貢献が優れている企業」ランキング

【連載(7)】日経「SDGs経営」調査2019 分析と先進事例
日経SDGs日経リサーチは日本経済新聞社が2019年に初めて実施した「SDGs経営」調査の結果を独自に分析しました。「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」などテーマごとの日本企業全体の取り組み状況や、高評価企業の取り組み事例について紹介します。掲載は毎週木曜日、10回を予定しています。
今回は、調査回答者が選んだ「事業によるSDGsへの貢献が優れている企業」ランキングと、上位2社の取り組みを紹介します。
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調査では「事業によるSDGsへの貢献が優れている企業」を3社まであげてもらった。回答者は各社でSDGsを推進する担当者、いわゆるプロで、ランキング上位企業の顔ぶれは、一般消費者が選ぶイメージランキングとは違う結果となった。調査回答637社のおよそ1割の票を集めたオムロンが1位。2位に住友化学が入った。
 
「事業によるSDGsへの貢献が優れている企業」ランキング
オムロンと住友化学が評価される理由
【オムロンを選んだ理由の特徴(上位5項目)】

【住友化学を選んだ理由の特徴(上位5項目)】

※目安として、数値が2よりも大きい内容が特にその企業と関係が強い。

調査では優れていると思う企業の社名とともに、理由も記入してもらった。回答文章を分析ソフトにかけ、オムロンと住友化学が選ばれた理由に見られる特徴を抽出した。オムロンは「役員報酬との連動」「事業を通じた社会課題の解決」「経営との結び付け」、住友化学は「製品を通じた事業でのSDGsへの貢献」「全社員への意識の浸透」「雇用の創出」が特徴的なキーワードとして現れた。

これらが表している具体的な取り組みを紹介する。
オムロンの取り組み
評価される理由1.SDGsからバックキャストした中期経営計画「VG2.0」
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オムロンは2011年に10年間の長期ビジョン「Value Generation 2020(VG2020)」を策定。2017年度にスタートした中期経営計画「VG2.0」の作成にあたっては、SDGsを考慮し、未来を起点として戦略に落とし込んだという。オムロンの強みを発揮しながら、社会的課題の解決を通じて事業成長が見込める市場として「ファクトリーオートメーション」「ヘルスケア」「ソーシャルソリューション」を注力ドメインとした。同時にサステナビリティ重要課題を設定。例えば、ヘルスケアでは脳・心血管疾患イベントの発症をゼロにすることを課題とし、「2020年度に全世界での血圧計年間販売数2500万台」という定量目標と「変動を連続的に把握できる解析技術の確立」という定性目標を設定した。その達成に向けて取り組みを進めている。
オムロン執行役員の井垣勉グローバルインベスター&ブランドコミュニケーション本部長に聞いた「サステナビリティ目標の達成に向け、従業員を巻き込み、日々の業務に定着させるポイント」。
オムロンは「事業を通じてよりよい社会づくりに貢献する」ことを企業理念として掲げています。したがってサステナビリティの推進は、企業理念を実践することに他なりません。社員が企業理念に共鳴し実践することでサステナビリティを推進するための取り組みが、2012年に始めた「TOGA (The Omron Global Awards)」です。社員が自ら立てる目標によって業務と企業理念の結びつきを実感し、企業理念実践にチャレンジし続ける風土を後押しする活動です。これからも企業理念への共感・共鳴の輪の拡大することで、サステナビリティの取り組みをグローバルに推進していきます。
評価される理由2.役員報酬の評価項目にサステナビリティを組み込み
中期経営計画VG2.0で導入した役員向けの中長期業績連動型株式報酬の評価項目には、業績目標の達成度に加えて、第三者機関の評価に基づくサステナビリティ指標を組み込んでいる。調査に回答した637社中、役員報酬の評価項目に「SDGsへの貢献の目標に対する達成度」を組み込んでいる企業は11.3%、「SDGsへの貢献に関する第三者機関の評価」を組み込んでいる企業は4.3%といずれも少数だ。
住友化学の取り組み
評価される理由1.マラリア防除のために開発した蚊帳「オリセット®ネット」

住友化学は、防虫剤処理蚊帳「オリセット®ネット」で、SDGsの17目標を複数同時に解決することを目指す。

※家の入り口や窓に吊るして蚊が家の中に入り込むのを防いでいる
©M. Hallahan / Sumitomo Chemical


 


工場の虫よけ網戸に使われていたポリエチレンに防虫剤を練りこみ薬剤を徐々に表面に染み出させる技術を使い、「オリセットネット」はマラリアに苦しむ人々のために作られた。2001年には世界保健機関(WHO)から世界で初めて長期残効型蚊帳としての効果が認められ、現在、国連児童基金(UNICEF)などを通じて80カ国以上に供給されているという。WHO によると、2018年の世界でのマラリアの死者数は40万人を超えた。住友化学はオリセットネットによって救われた命は累計620万人と推計する。
 


オリセットネットの製造技術を現地企業に無償供与し、2003年に現地生産を開始。女性の作業者には女子寮や託児所を整備した。
 


収益の一部で教育を支援し、アフリカ12カ国で総受益者数は2万9000人を超える。
評価される理由2.全員参加のグローバルプロジェクト:サステナブルツリー
2016年度から実施しているグループ全体の専用ウェブサイトに投稿する取り組み「サステナブルツリー」。最初は個人による社会貢献活動に関する投稿が主だったが、投稿の主体を個人から職場、さらに会社へとステップアップさせている。2017年度に投稿テーマを仕事や職場での取り組みに設定すると、職場での話し合いが増え、職場としての取り組みや決意に関する投稿が増えたという。さらに、2018年度はサイト内にグループ各社のページを作成し、良い取り組みはベストプラクティスとしてウェブサイト内で紹介したり、「いいね!」をつけて共有したりするなど投稿を一方通行にしない仕組みも導入。投稿者数は毎年増加している。2019年度からは「For a Sustainable Future 自利&利他」と名称を変更してプロジェクトを進めている。
住友化学サステナビリティ推進部主席部員の山本恭子氏に聞いた「プロジェクトを従業員に定着させるポイント」。
当社グループはトップのコミットメント(T : Top Commitment)の下、事業を通じて(S : Solutions)、全役職員参加(P : Participation)の三位一体「T・S・P」によるサステナビリティ推進に取り組んでいます。SDGsは当社が創業以来受け継いできた「住友の事業精神」と軌を一にすると捉え、サステナビリティ推進の中で経営としてその実現に貢献するとしています。2016年から始めたグローバルプロジェクトでは、社内専用のウェブサイトを構築、グループ各社の社長がサステナビリティ推進に関するメッセージを投稿しています。全役職員の「投稿」を継続して定着を図る一方、SDGsという大きなテーマへの心理的なハードルを下げ、楽しく参加できるプロジェクトとすることを意識しています。具体的には、専用ウェブサイトに翻訳機能をつけて世界各国の全役職員が言語を問わず気軽に投稿、閲覧できるなどの工夫をしています。SDGsとは何かを学ぶマンガも11カ国語で公開しています。
プロジェクトを従業員に確実に定着させるためには、マンネリ化を防ぎ、常に新しい人を巻き込む工夫が必要です。そこで、中期経営計画に連動して3年に一度、プロジェクトの内容を大きく見直しています。これからも、より多くの役職員がプロジェクトに参加する意義を感じ、楽しみながら継続的に参加できるよう、私たち事務局も新たな企画に挑戦していきます。

「SDGs経営」推進プロジェクト 佐俣桂子
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次回のテーマは「グローバルでのSDGsの状況と海外企業の取り組み事例」です。

調査でお伺いした「SDGsへの貢献に取り組む上での課題」では、「経営層から一般社員に至るまでが会社の経営理念や事業と関連づけてSDGsを理解し、行動すること」が66.2%でトップでした。「SDGs経営」推進プロジェクトでは、「SDGs経営調査活用サービス」で、「SDGs経営」を支援します。
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