コロナ禍でも対面サービス希望者が多い
金融機関は?
- 金融

ソリューション第1部
佐々木 孝広
日経リサーチが全国の一般消費者約16万人を対象にインターネットで今年9月に実施した金融機関顧客評価調査「金融METER®」の関連項目のデータを分析してみました。
今回の調査では、投資商品・生命保険・損害保険の各商品について、①情報収集・相談②購入・申し込み③解約手続きの各フェーズで、店頭窓口や担当者からの訪問などの対面でサービスを受けたいか、ビデオ通話などの非対面でサービスを受けたいかを聴取しています。本コラムでは、投資商品に注目して対面/非対面の意向を比較しました。
図1は【投資商品の情報収集・相談】について、対面/非対面のどちらでサービスを受けることを希望するか、利用している金融機関ごとに比較した結果です。投資商品の情報収集・相談を「対面で行いたい」(「どちらかといえば」を含む)利用者の割合は信託銀行が35.4%で最も高く、地方銀行がこれに続きました。
一方、「非対面で行いたい」(「どちらかといえば」を含む)利用者の割合はネット系銀行、証券会社の順で高くなっています。すでにインターネットで取引を行っているネット系銀行利用者のスコアが高いのは当然の結果と考えられますが、今回の結果から証券会社利用者のデジタルリテラシーの高さもうかがい知ることができます。
図1.投資商品の情報収集・相談
次に、図2は【投資商品の購入・申し込み】について比較した結果です。投資商品の購入・申し込みを「対面で行いたい」利用者は地方銀行が34.8%で信託銀行を僅差で逆転してトップとなりました。「非対面で行いたい」利用者の割合はやはりネット系銀行と証券会社が高く、両者はほぼ同スコアでした。
図2.投資商品の購入・申し込み
このように、取引フェーズを問わず、信託銀行と地方銀行の利用者には対面でのサービス希望者が多い結果となりました。高齢者層は他の年代と比較するとインターネットリテラシーが低い傾向がありますが、信託銀行利用者は顧客の年齢層が高いため、非対面でのサービスに抵抗感があり、対面でのサービスを希望する割合が高くなっているものと推察されます。また、地方銀行利用者は全業態で唯一、情報収集・相談、購入・申し込みともに、対面サービス希望者が非対面サービス希望者を上回っており、地域にくまなく張り巡らせた店舗網を通じ、対面でのきめ細かなサービスを提供するという地方銀行のビジネスモデルが利用者に定着していることがうかがえます。
新型コロナの影響もあり、今後も非対面への流れは加速していくものと考えられます。限られた経営資源を非対面サービスの深化に集中投下するのか、一定の割合で存在する対面でのサービスを望む層にも配慮した施策を展開するのか、金融機関にはビジネスモデルの見直しも含めた選択が求められていると思われます。
日経リサーチ「金融METER®」では、個別の金融機関の調査結果もデータ提供が可能です。ぜひ、デジタル施策の検討材料として、「金融METER®」を貴社のさらなる発展にご活用いただければ幸いです。
※図表中の数値について、四捨五入の関係でまとめ上げの合計が一致しない場合があります。
ご相談や見積もりのご依頼がございましたら、お気軽にお問い合わせください
-
0120-980-181(平日9:00~12:30、13:30~17:30)
- お問い合わせ