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企業名より有名?「技術ブランド」を活用したブランディング

前回までは当社独自の日経リサーチ企業ブランド類型「NKR CBT」に基づく12分類の中からいくつかの事例をとりあげ、企業に根付いているブランドイメージを掘り下げて具体的にご紹介しました。今回は企業ブランドのこれからについて、「技術ブランド」をトリガーにお話しします。

「技術ブランド」とは目に見えない技術を見える化するため、その企業固有の技術につけられた名称やキャッチフレーズなどのブランドを言います。第2回のコラムで取り上げた企業で例えると、ユニクロの「ヒートテック」、日産自動車の「e-POWER」が挙げられます。企業ブランドや商品ブランドに加え、近年は事業ブランドやサブブランドなど、ブランドの体系がより複雑化しており、技術ブランドもそのなかのひとつといえるでしょう。

日経リサーチは「ブランド戦略サーベイ」とは別に今年5月に実施したブランドに関する調査(※)で、いくつかの技術ブランドを提示し、それ自体の認知と、その技術ブランドを保有している企業ブランドとの結びつきの認知をそれぞれ調べました。

図-1 技術ブランドの認知、企業ブランドとの結びつき認知(%)

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技術ブランド自体の認知状況を自動車関連の3つでみると「アイサイト」が最も高く、次いで「e-POWER」、「SKYACTIV TECHNOLOGY」と続きました。一方で、これら技術ブランドと企業ブランドとの結びつき認知状況はマツダの「SKYACTIV TECHNOLOGY」が最も高く、日産自動車の「e-POWER」、SUBARUの「アイサイト」の順となりました。

同じ自動車の技術ブランドであっても「アイサイト」は技術ブランド単体としての認知が高く、「SKYACTIV TECHNOLOGY」は技術ブランド単体での認知はそこまで高くないものの、認知者の多くは企業ブランドと結びつけて記憶しており、認知のされ方に違いがあることがわかります。

また、自動車関連技術ではありませんが、自動車部品大手のデンソーが1994年に発明し、今や世界的に普及している「QRコード」は技術ブランド単体としての認知が非常に高く、企業ブランドとの結びつきは低いことがわかりました。

この調査では、これら4つの技術ブランドによる企業の印象向上度(その技術を開発した企業を知った時、企業に対する印象が良くなる度合い)も明らかにしました。

図-2 技術ブランドと企業ブランドとの結びつき認知、技術ブランドによる企業の印象向上度(%)

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デンソーの「QRコード」は技術ブランドによる企業の印象向上度がとても高いことがわかりました。企業ブランドとの結びつきを一層強めることで、企業ブランドの印象が向上する可能性を秘めているといえます。

自動車業界に限らず、多くの企業が技術ブランドを用いてコミュニケーションをしています。技術ブランドだけを訴求するのではなく、企業ブランドとの関連性を保ちながら発信していくことが、企業のブランド力を高める上で効果的だと思われます。

日経リサーチは企業ブランドと技術ブランドの関係性を可視化したブランディングを支援しています。ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。

参考文献: 田中洋(2017)「ブランド戦略論」p.97(有斐閣)

ブランドに関する調査(2020年5月21~25日実施)

調査対象:全国16~79歳の一般男女個人
回答者数:2,138s(分析時は人口構成比にてウェイトバック集計を実施)
調査主体:株式会社日経リサーチ

(ブランドチーム 執筆:ソリューション第2部 持木俊介、
調査企画:ソリューション第3部 大野誠)

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