海外駐在員、7割の企業が見直し

新型コロナ禍、役割も変化 日経リサーチ最新調査から

新型コロナ禍で社会や働き方が大きく変化したこの1年、企業は様々な決断を迫られてきた。経済産業省の海外現地法人四半期調査(2020年7~9月期)を見ると、日本企業の海外現地法人における売上高は前年同期比6.7%減と7期連続の減少となったが、4~6月期より回復が見られた。このまま回復傾向が続けば、リーマンショック後より早いペースでの持ち直しが期待ができる。

海外マネジメント体制の変化

そんな状況下で、日本企業の海外駐在員のミッションや業務内容にも大きな変化が起きている。現地との往来が困難になったため、海外拠点のマネジメントやコミュニケーションをリモートで行う企業も多い。昨年12月に当社が実施した調査では、新型コロナの影響で、日本人駐在員の削減や引き揚げを「行った」企業が3割以上にのぼった。「行う予定」が1割強、「検討の必要性を感じる」が3割弱と、日本企業が駐在員戦略の見直しに動いている。今回の結果では、エリアによる大きな差は見られなかったものの、北米と欧州という感染が拡がった地域で、既に削減・引き揚げを行った割合が若干高かった。これまでなら現地に居なければできないと思われていた業務も、「やってみれば意外と日本から遠隔でできるものもある」という新たな発見と自信を得た企業も多いだろう。これを機に、駐在をベースとした既存の組織体制や業務を改革していこうという企業と、これまで通りの体制で業務を遂行していこうという企業に分かれていく可能性が高そうだ。

図1 勤務先では、新型コロナウイルス発生後に日本人駐在員の人数の削減や駐在員の完全な引き揚げを行いましたか。
図1

実際、この調査で駐在員のミッションや役割を見直す企業は、見直しを予定している企業も含めると7割に及ぶことが分かったわけだが、エリア別では、北米が最も高く、4割の企業でミッション・役割の見直しが決まっている。一方、現地人材の育成や獲得、コンプライアンス管理に課題を抱える企業も多く、権限移譲が難しいと感じている現状も浮き彫りになった。業務にあたる駐在員自体の役割や本社との関係性がどうあるべきか、さらには日本人でなければできない業務、現地に駐在しなければできない業務は何なのか。駐在員戦略が問い直されている。

図2 勤務先では、新型コロナウイルス発生後に日本人駐在員のミッションや役割の見直しを行いましたか。
図2

ニューノーマル時代の駐在員

アフターコロナで求められる駐在員の役割とは何か。日本本社とのパイプ役としての本社戦略の遂行、拠点の計画立案・進捗管理、技術・ノウハウの移転、オペレーション上の意思決定などこれまで駐在員が担ってきた役割のうち、業務執行部分は今後ローカルへの移管が進んでいくだろう。併せてリモートワークの加速に伴い、管理業務の一部は「本社からのリモート管理」への切り替えが進むことも予測できる。その一方で、理念浸透やガバナンスの維持は引き続き、駐在員の重要な役割として残ると考えられる。(企業によっては、顧客である日本企業のための顧客接点業務も海外ビジネスを行う上で不可欠と考えるだろう)
当たり前が当たり前でなくなった今、改めて駐在員の役割・意義を整理することで、駐在員に必要な資質が明確化され、より実践的な能力に軸足が移るものと思われる。刻一刻と変化する環境下でも、その先にあるビジョンを見据えて柔軟に対応できる姿勢、旗振り役としてローカルスタッフを鼓舞し、導くリーダーシップが、新しい時代の駐在員には求められそうだ。

(日経リサーチ 人組織グローバルソリューションマネージャー 西山知見)

調査方法 インターネット調査
対象国 日本
対象者 ・20~69歳のお勤めの方
・海外に駐在員を派遣している企業にお勤めの方(有職者)のうち、「本社で駐在員派遣の方針や役割設定、駐在員の選定に関与している」方
・サンプル数:3,000s
実施期間 2020年12月
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