Case

社長直下の監査組織が立てた顧客体験の仮説 CS調査で立証し、社内意識の変革につなげる

株式会社エムティーアイ

「ルナルナ」「music.jp」などのモバイルサービスで知られる株式会社エムティーアイでは、自社サービスの顧客体験をユーザーの立場からチェックする独立した監査組織が、日経リサーチの顧客満足度(CS)調査を利用している。CS調査を社内監査的に活用するケースは、当社のお客様の中でも珍しい。この取り組みの狙いや成果、当社CS調査の評価などについて、同社コンテンツクオリティ部に話を聞いた。
 

エムティーアイの3人

株式会社エムティーアイ
コーポレート・サポート本部
コンテンツクオリティ部
執行役員 高木康憲 氏(中央)
部長代理 中村享平 氏(右)
人間中心設計スペシャリスト 野村浩史 氏(左)
※社名・部署・役職はインタビュー当時のものです

「一番のユーザー」として自社サービスをチェック

Q.まずはコンテンツクオリティ部の成り立ちとミッションについて教えてください。

高木氏 我が社は「ヘルスケア」「フィンテック」「音楽・電子書籍」「生活情報」などのモバイルサービス事業を展開していますが、これまで時代に合わせて様々なテクノロジーや機能をサービスに取り入れてきました。ただ、高機能化すると、UI(ユーザーインターフェイス)などのデザインが分かりにくくなり、使い勝手が悪化するケースがあります。この課題を解決するために2014年7月に立ち上げたのがコンテンツクオリティ部です。
中村氏 我々はいずれの事業部門にも属さない組織として、顧客目線で自社サービスをチェックすることがミッションです。公正さを担保するため、独立した予算で活動していることが特徴の1つで、いわば監査的な役割を果たしています。具体的には、自社と競合他社のサービスをひとりのユーザーとして徹底的に使い込むことで、自社サービスの使い勝手などに関する課題を洗い出します。そういう意味では、我々が「エムティーアイの一番のユーザー」だと言えるかもしれません。
高木氏 各事業部ではプログラムのバグを修正するためのデバッグ作業を行っていますし、マーケティング担当部署では市場調査を行っています。それでもなぜ我々のような部署が必要なのかというと、一般のお客様はライトなユーザーがほとんどで、ITリテラシーが高いとは限らないからです。ITリテラシーの高い開発者やマーケターの視点で設計された機能やUIデザインがお客様の実態にそぐわないことは珍しくありません。そこで「お客様に我々が考えているサービスの価値が届いているのか?」という点にフォーカスした調査が必要になるのです。

オリジナルの設問設計で仮説の正しさを実証

Q.2017年秋と19年春の2度にわたって、顧客満足度調査を実施していますが、その目的と日経リサーチに調査を委託した理由を教えてください。

中村氏 調査の最大の目的は我々が行ってきた活動から導き出した仮説が正しいことを定量的に示すことです。仮説に基づいて「こう変えた方がよいのでは?」と事業部に提案しても、「それは本当なのか?」と疑問を持たれたり、意見されたりすることがあります。しかし、以前はそのような疑問に答える術がありませんでした。そこで我々の仮説が顧客に調査した結果と同じであることを証明する必要があったのです。
野村氏 調査会社の選定では、調査の正確性はもちろん、「調査結果が信頼できる」ということを社内に理解してもらいやすいかどうかを重視しました。その点、豊富な調査実績を有し、日本経済新聞社のグループ企業で、「JCSI(日本版顧客満足度指数)」の利用推進パートナーである日経リサーチなら申し分ないと判断したのです。
中村氏 調査にあたっては、JCSIをベースにしたものだけでなく、お客様の体験価値を深掘りする設問を追加してもらいましたが、その際、我々が知りたいことに対して「このような設問を設計すればフォローできます」というように具体的な提案をしてもらったのは非常にありがたかったですね。調査結果からは、あるサービスについて「事業部の想定とは異なる使い方をされているお客様が多い」という事実が明らかになりましたが、これはコンテンツクオリティ部が考えていた仮説と同じで、当初の目論見通り、仮説を定量化することができました。また、再利用・継続利用に対する意識を把握するため、サービスの利用前と後の意識についてもオリジナルで設問を設計してもらいましたが、これも適切だったと思います。

調査の活用で根付いた「顧客ファースト」意識

Q.今年7月には2回目の調査に関する報告会を開催して、当社担当者が社員の皆様に直接調査結果をお伝えしましたが、社内の感想はいかがでしたか?

野村氏 最初の調査の報告会は自分たちだけで開いたのですが、2回目の調査の報告会は、初回の40名を上回る130名もの社員が集まりました。参加者の評価も上々で、事後アンケートでは「もう一度、調査の報告会をやって欲しいか?」という質問に対する回答の平均スコアは5点満点で4.4でした。
中村氏 社外の専門家に直接話してもらったことが功を奏したと思います。社内の人間が説明するより、客観的な意見としてしっかり受け止めることができますから。また、プレゼンテーションそのものはもちろん、報告書の中身についても、分かりやすく工夫してもらったことも大きかったですね。
高木氏 今回の調査データは、これからそれぞれのサービスに反映していきますが、必ずよい結果につながると確信しています。我々の取り組みはスタートしてから5、6年になりますが、はじめは各事業部にとって耳の痛い話を聞かされることになるので、社内の理解が得られないこともありました。しかし、ここにきてやっと理解が得られるようになり、お客様を向いた開発に取り組むこと――「顧客ファースト」を重視する意識が根付いてきています。これも日経リサーチの調査を活用して、仮説を定量化してきたことが役立っていることはいうまでもありません。今後、我々はヘルスケアサービス事業の売上拡大に注力していく考えですが、実現には日経リサーチの顧客満足度調査の継続的な利用が必要不可欠だと思います。

日経リサーチとJCSI(日本版顧客満足度指数)

JCSI(日本版顧客満足度指数)は経済産業省の支援のもとで、SPRING(サービス産業生産性協議会、運営・事務局:公益財団法人日本生産性本部)が開発した、企業・ブランドに対ける顧客の満足度を計る指数です。
JCSIの「利用推進パートナー」に認定されている日経リサーチは、JCSIをベースにしたカスタマイズ調査の企画・設計が可能です。更に、弊社がこれまで培ってきた顧客満足度調査・分析のノウハウを加味した施策立案・実施により、顧客満足度向上を基軸とした経営革新をご支援します。

実施背景

  • いずれの事業部門にも属さず、顧客目線で自社サービスをチェックするコンテンツクオリティ部が発足
  • 社内を納得させるため、顧客体験に関するコンテンツクオリティ部の仮説が正しいことを裏付ける定量的なデータが必要に

調査結果

  • あるサービスに関して、事業部の想定と異なる方法で利用する顧客が多く、十分な顧客体験価値を提供できていないことが判明
  • 調査結果によって、コンテンツクオリティ部が立てた仮説が正しいことを証明

活用・効果

  • 調査結果は報告会で社内にフィードバック。顧客体験向上に活用予定
  • 顧客第一での開発を重視するように社内意識が変化
  • コンテンツクオリティ部に対する理解が増進

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