株式会社日経リサーチ

順序効果

 順序効果とは実験や調査による測定で、測定する対象を被験者・調査対象者に提示する順序の相違が、測定・回答結果に影響を及ぼすという効果である。
 官能評価においては、ビールの味などを評価するにあたり、順番に飲むほかないが、前のブランドの味が、後のブランドの味に影響を及ぼす可能性がある。テレビCMの評価でも、いくつかのCM作品を見せる順序が評価に影響する可能性がある。
 実験においては、R.A.Fisherが3原則を提唱しており、さまざまな実験計画法が既に1920年代に確立している。3原則とは、

 (1)反復(replication)
 (2)無作為化(randomization)
 (3)局所管理(local control)

である。
 この中で順序効果の消去に有効な手段は無作為化である。

 質問紙による調査では、質問項目や選択肢の順番が、回答結果に影響を与える。調査票を対象に渡す「留置法」や「郵送法」の場合は、対象者が調査票を見返して回答を修正する余地があるが、「面接法」や「電話法」では、そのような後戻りができない。

 順序効果が問題となるのは、回答結果の値が、回答者の真の実態を反映している部分と、順序効果の部分を分離できないために、結果を過大評価あるいは過小評価して、判断を誤る危険があることである。そのため、調査の設計において、順序効果を消去する対策がとられる。

 紙の調査票の場合は、調査票を何種類か用意して、何通りかの質問順序を作っておく。対象者にはランダムに調査票の種類を割り当てることで、順序効果を消去する。また種類別に集計することで順序効果の有無や大きさを、ある程度は知ることもできる。

 WEB調査、およびCATIによる電話調査の場合は、すべての対象者に対して異なる表示順にランダマイズすることが可能である。紙の調査票の場合はコストも加わるが、インターネット調査やCATI調査では、動的に質問表示を制御する機能がある。

 下の図はある電話調査を、隔月で13回実施した結果の一部である。同一の質問項目があり、複数回答で12個の選択肢を回答してもらう。その中で1番目の選択肢と6番目の選択肢の回答結果(%)を折れ線グラフで示した。
 1回目から11回目までは選択肢を読み上げる順序を固定し、全ての対象者に同じ順序で質問した。12回目と13回目は選択肢をランダマイズして読み上げた。調査対象者はそれぞれ千人以上である。
 選択肢1は、60%程度以上の高い値を示していたが、ランダマイズした12回目に急落した。選択肢6は顕著な変化をしなかった。もっとも選択肢1も、1回目と2回目の調査では55%を下回っているので、12回目と13回目が55%前後に低下した原因が、順序効果だけによるものかを断定することはできない。その後の調査の傾向などを加味して解釈するしかないが、順序効果の存在も完全には否定できない。さまざまな理由から、調査票の設計や、測定方法を変更する場合があるが、不連続性が生じることを承知しておくことが重要である。
 
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