株式会社日経リサーチ

「データビジュアライゼーション」を進めていくための3つのポイント

データを経営の意思決定に活用する方法とは
 日本経済新聞社 デジタル事業 広告・IDユニットが主催する日経BizGateセミナー「データを経営の意思決定に活用する方法とは」(2月9日開催)で、弊社執行役員CRM事業本部長の池田達哉が講演いたしました。その講演の採録をご紹介いたします。
 企業活動で生まれるさまざまなデータを適切に活用し、経営判断やマーティング活動に役立てていただくため、どうぞご一読ください。

※こちらの内容は日経BizGateのサイトに掲載された記事をそのまま転載したものです。
データを経営に生かすには、
素早く可視化するための仕組みが必要
 池田 達哉氏
 企業活動で生まれる様々なデータを収集、分析し、経営判断に活用しながらビジネス価値を高めていくことが強く求められている。そこで注目を集めているのが経営者や業務部門が手軽に利用できる分析ツールだ。しかし、データを経営に生かすには、現状を直ちに把握できるよう表示し、ユーザー自らがそれを掘り下げて原因を探り、行動に結びつけられるように設計することが欠かせない、そう指摘するのは日経リサーチ執行役員CRM事業本部長の池田達哉氏だ。このほど開催された「日経BizGateセミナー『データを経営の意思決定に活用する方法とは』」に登壇した池田氏が解説した、データを分かりやすく可視化するための「データビジュアライゼーション」から、現状のデータ分析における課題とその解決策を探った。
データビジュアライゼーションにより、
課題やリスクの予兆をつかむことができる
池田 達哉氏
 池田氏はまず「ダッシュボードでデータを生かす3つのポイント」と題し、データの持つ意味や関係性を分かりやすく可視化する「ビジュアライゼーション」の重要性に言及した。例えば、グラフの種類を変えるだけで、変化や差異がはっきり分かる。このように、「データの見せ方を工夫するだけで課題の着目点が変わり、さらに見た人はなぜそうなったかを考え、改善するなど次の行動に移っていく」と池田氏はその効果を述べる。

 実際の経営の現場では、データの持つ意味や課題を分かりやすく伝えることができないと、ときには経営判断を誤る可能性がある。池田氏は、1986年に起きたスペースシャトル「チャレンジャー号」が打ち上げ直後に爆発した事故を例にあげる。

 爆発の直接の原因は燃料補助ロケットを密閉する「Oリング」の破損、と事故後検証された。しかしあまり知られていないが、実は燃焼実験におけるデータなどから外気温が低下するとOリングに問題が生じるのではないかと、ロケットメーカーは打ち上げ中止をNASAに申し出ていたという。しかし十分に論証することができず、その申し出は取り下げられてしまったのだという。このことについてデータビジュアライゼーションの大家、エドワード・タフト氏は、適切に外気温とOリングのダメージ度合いをグラフ化していれば、事故を予測できたはずだと主張した。事故前のデータや研究状況を考えるとき主張の正当性については争いがあるものの、池田氏は「データビジュアライゼーションにより課題やリスクの予兆をつかむことができる」と、その重要性を説明した。
データを経営やマーケティングに生かすために大事なのは、
「データに語ってもらう」こと
 続いて池田氏は、具体的なデータビジュアライゼーションのポイントを紹介した。1つ目のポイントは「データに語ってもらう」ことだ。

 よく、データ活用のためにはPDCAサイクルを回すことが大事だといわれる。BIツールなどのデータ可視化ツールが普及し、リアルタイムにデータを分析する環境が整いつつある中で、経営もマーケティングも、より高速に回していくことが求められる。

 そこで池田氏は、PDCAをより高速化したジョン・ボイド氏が提唱する「OODA」を紹介した。これは、「Observe:監視」「Orient:情勢判断」「Decide:意思決定」「Act:行動」の4つを高速でループさせることだ。もともとは戦闘機同士の空中戦から生み出された考え方だ。

 もう一つ重要なことは「数ある変数の中から、どれが重要な変数かを見極めること」にある。ボイド氏は戦闘機の優劣は高度と速度で決まるということを見いだしたという。先ほどのスペースシャトルの例でも、もし外気温が重要であると事前に因果関係が見極められて監視されていたら、状況は大きく変っていただろう。

 事前にデータの因果関係を探り、それを意識し、ダッシュボードにどんなデータをどのように表示するか設計することが重要だ。そのためには、自社の顧客をより深く知ることが欠かせない。具体的にはペルソナやカスタマージャーニーを描くところから始め、顧客データや自社サイトのアクセスログといった膨大なデータ分析が必要になる。

 しかし、それだけでは顧客の全体像を見いだすのは難しいと池田氏は指摘する。そこで使えるのが、同社が「ミルフィーユ」と呼ぶデータ統合のツールだ。例えば、銀行であれば、顧客が自分の銀行に保有する口座残高は分かるが、他の銀行に口座を持っているか、残高がどれくらいかはもちろん分からない。

 さらに、顧客がどんな趣味やライフスタイルを持ち、家族構成や消費傾向、価値観などは顧客データを分析しても見当がつかないことがある。それがミルフィーユでは、顧客データと、20万サンプル規模の「シングルソースデータベース」(SSDB)を融合して、共通する属性情報をマッチングし、顧客像を推測することができるのだ。こうしたデータを活用し、より深く顧客像を明らかにすることで、マーケティング施策の効果を高めることができるという。実際に導入した金融機関や製造業の顧客からは、「納得感の高いセグメントができるようになった」との声を得ているそうだ。
ミルフィーユ
 
カスタマージャーニー全体で、購買前の「中間目標」も指標に
 2つ目のポイントは「購買に至る前の中間目標を定めよう」ということだ。車を購入するという道筋をカスタマージャーニーで例にとると、車を買いたいという「関心・ニーズ」から、具体的に情報を収集する「調べる」フェーズ、そして、販売店に来店して「選ぶ」、「買う」に至る。

 ここで重要なのは、販売店に来店して「選ぶ」段階では、近年すでに候補が数車に絞られており、中には「この車」と指名買いになっているケースがあることだ。これは、インターネットの普及などで、情報の比較、検討が以前に比べて格段にやりやすくなったことが背景にある。企業にとっては「関心・ニーズ」もしくは「調べる」の段階で自社製品を候補に入れてもらうことが重要となる。

 「関心・ニーズ」「調べる」の段階で効いてくるのはソーシャルやブランドである。つまり、購入後にユーザーがどういう体験をしたか、販売店での点検対応はどうだったかというユーザーの声が重要となる。その指標として、アンケート調査の顧客満足度(CS調査)や、顧客のロイヤルティを測るNPS(ネット・プロモーター・スコア)、ブランド調査などの指標が役に立つ。こうしたいわば「中間指標」もダッシュボードに組み込むとよい、と池田氏は述べる。

 日経リサーチでは、580社のコーポレートブランドの調査データ「ブランド戦略サーベイ」を提供している。また、ブランドイメージがどんなアクセスポイント(接点)で醸成されるかを可視化する「ヒートマップ」などのツールも提供しており、「こうしたツールの活用も有効だ」と池田氏は説明する。
「状況を把握し、次の行動を起こせる」
ダッシュボードとするために
 池田 達哉氏
 3つ目のポイントは「状況を把握し、次の行動を起こせるダッシュボードを組み込もう」というポイントだ。ダッシュボードの目標は、OODAループを高速で回すために「情勢がすぐに理解できること」や、「経営層から現場まで、同じ指標を見る」ことにある。それにより、原因を探求、施策を考え、実行、改善につなげる「現場のユーザー社員が自ら動き出す」ことが大切だ。そのためには、会社、部門、個人と段階的に目標数値を体系化することが必要で、その際はGoogleが利用している「OKR」(Objective, Key, Results)という手法が有効だ。

 しかし体系化するのが難しく、工夫が必要な場合もある。例えば、「モバイルアプリの継続率が悪いので、登録継続率を20%改善する」という目標数値を会社で設定する場合、「ユーザーはどんなことやどこにいこうとしていたのか」「何に引っかかっているのか」が把握できていないと、改善ポイントや施策、評価指標がうまく設計できない。そこで、簡易アンケートやインタビューで、実際に顧客の声を聞くと、顧客のペインポイントが分かる場合がある。
よいビジュアライゼーションは
適切な分析と迅速な行動につながる
 最後に池田氏は、ビジュアライゼーションのポイントを総括。ビッグデータの分析だけで探しきれないピースを探し、全体の構造を理解するための代替案として、リサーチ(調査)を有効活用してほしいと述べた。

 また、グラフやチャートといった、ビジュアライゼーションされたデータのコンテキスト(文脈)を理解することが大事で、スケッチしたり議論したり試行錯誤しながら「データの行間」をどう伝えるかを工夫してほしいと説明した。

 そして、よいビジュアライゼーションがあればグラフの読み方を説明しなくても、見た人は情勢を理解し、原因がどこにあり、何をすべきかを自然と理解できるようになる。池田氏は「よいビジュアライゼーションは適切な分析と迅速な行動につながる」と話し、OODAループを高速で回すことに取り組んでもらいたいと述べてセッションを締めくくった。
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