株式会社日経リサーチ

RPA活用し定型作業を自動化
事務作業大幅減

【連載】日経「スマートワーク経営」調査2018 分析と先進事例(4)
 日経「スマートワーク経営」調査2018では、生産性向上や在宅勤務など柔軟な働き方の実現に不可欠となっているテクノロジーに着目。人材活用におけるテクノロジーの導入状況を中心に、調査データの分析結果、特徴的な取り組みをしている企業の事例などを紹介します。
smartwork経営 4つ星
大同生命保険
( 調査の回答・評価はT&Dホールディングス)
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テクノロジー
 生命保険の手続きはタブレット端末を活用したデジタル化が進んできたものの、保険金の請求など、書類作成が必要な場面は依然多い。合理化の余地は大きいが、ミスの許されない作業だけに、どう合理化するかが課題だ。そうした中、T&Dホールディングス傘下の大同生命保険は、パソコンの定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入で業務を効率化し、社員の負担軽減という大きな成果を挙げている。

 大同生命は2015年末に東京本社を最新オフィスビルに移転させた前後から、在宅勤務制度を導入したりオフィス内のペーパーレス化を進めたりするなど、働き方改革に取り組んでいる。その結果、17年1月に本社の全社員に実施したアンケート調査では、約7割が「時間が有効に活用できるようになった」と答えるなど大きな変化が見られた。
 ところが、主にパソコンを使って契約書類作成などにたずさわる非役職社員(スタッフ)に限ると、約半数が「変化を感じていない」と回答。スタッフは1300人いる本社勤務社員の約4割を占めるだけに、スタッフの業務改革、ひいては生産性向上が急務となった。
一石二鳥の効果
 そこで導入したのが、パソコン操作自動化ソフトのRPAだった。まず取り組んだのは、RPAに置き換え可能な業務を洗い出す作業。本社の全部門にヒアリングして約500業務をピックアップし、データの加工・集計や入出力、メールの送受信など11業務を試験的にRPA化した。2カ月間の試験運用で、年換算で約1000時間の作業時間を削減できることが分かり、RPAに作業の流れを覚えさせる「シナリオ作成」はプログラミングの知識がなくてもできることも確認。17年10月、本社全部門への導入に踏み切った。
RPAシナリオ作成勉強会の様子  効果は顕著に現れた。例えば、保険金や給付金の請求書類の作成・発送業務は月平均1400件発生するが、1件当たり約10分の手作業を要し、スタッフの負担が大きい。とりわけ同社では18年10月から、支社の事務作業の効率化と営業機能の強化を目的に、これまで各支社が担当していた請求書発行事務を本社が一括して行うことにした。このため本社スタッフの負担は一段と高まっていた。そこで、この作業の大部分をRPA化したところ、年間2800時間もの作業時間の削減が実現した。
 RPAの導入で事務作業が支社から本社にスムーズに移行できたことにより、各支社は営業を強化する体制が整った。自動化の恩恵を直接受けたのは本社スタッフだが、結果的に支社の人材活用にもつながるという一石二鳥の効果を生んでいる。
300業務2.5万時間を削減
外部の専門家がシナリオ作成をサポートする様子 本社の業務全体で見ると、1 9 年3月末時点で、約300業務がRPAに置き換わり、それによる作業時間の削減は年間約2.5万時間。スタッフ1人あたりに換算すると、年間50時間減ったことになる。
 成功の裏には、全社挙げての取り組みがあった。普及面では、各部署のシナリオ作成担当者を対象としたシナリオ作成の勉強会や相談会を定期的に実施。外部の専門家を招いての相談会も開いた。また、自動化が可能な作業を掘り起こすため、質問に「はい」「いいえ」で答えていくと、最終的に自分の担当作業がRPA向きかどうかわかるフローチャートをつくり、社員に提供した。
 一方、むやみにRPA化してもあまり効果が出なかったり、そのうちRPAが社内で「野良ロボ化」したりするリスクがあるため、導入を判断するための審査を入念にするなど管理も徹底した。具体的には、品質管理部が全体を統括する体制を敷き、部門ごとにRPA推進責任者と推進担当者を1人ずつ置いて推進とリスク管理のバランスをとった。
事務プロセス自体の改善が必要
 課題も残されている。品質管理部事務改革推進課の本間聡美係長は、「作業自体はRPA化が可能だが、書類のフォーマットがひんぱんに変わるなどして自動化できないものもまだ多くあり、さらに推進するためには事務プロセス自体の改善が欠かせない」と指摘する。このため、19年度はコンサルティング会社などを活用して抜本的な業務プロセスの見直しを計画しているという。また、管理をより徹底するため、シナリオの稼働状況や、シナリオをバージョンごとに管理できる管理ツールの導入も検討している。
 第2に、社員向けの啓発活動の強化だ。スタッフの年齢は20代から30代が中心と比較的若いが、慣れ親しんだ手作業による処理を好む社員も少なくないという。本間氏は、「使い始めは少し苦労するかもしれないが、いったん慣れれば、作業ははるかに楽になる。そうしたRPAのメリットを社員に丁寧に説明し、理解してもらうことが重要」と強調する。
 
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