「個人の資産形成に関する意識調査」に見る
アフターフォローの重要性について

株式会社日本資産運用基盤グループ 主任研究員
長澤 敏夫

昨年金融庁により改訂された「顧客本位の業務運営に関する原則」において、「金融商品・サービスの販売後において、顧客の意向に基づき、長期的な視点にも配慮した適切なフォローアップを行うこと1」という項目が新たに加わりました。
従来の個別商品提案が中心の販売では、フォローアップといっても、次のニーズを引き出すためのフォローや、相場変動時に苦情とならないための損失のフォローが中心となりがちだったかと思われますが、長期的な視点にも配慮するとなると、お客様のライフプランに寄り添い、人生の金融面での目標達成に向けた運用状況の確認、見直しなどが求められるようになるのではないかと思われます。そこでは、市況が悪化した際の狼狽売りや、相場が上昇基調の時に更なる上昇を期待しての高値掴みを防止する行動コーチングも含め、伴走型のフォローアップを行うことにより、お客様が短期的な相場の変化に一喜一憂しない資産運用につなげていくことができるのではないかと思われます。
今回、私が兼務しております株式会社QUICKにおいて、株式会社日経リサーチの協力を得て、「個人の資産形成に関する意識調査2 」を行いましたので、その中から、アフターフォローに関する調査結果を一部お届けしたいと思います。

まず、アフターフォローの頻度は「1~2回」が約半数で最も多く、「3~5回」が28.9%で続いていました。

アフターフォローの回数(年間、回答者数401人)アフターフォローの回数(年間、回答者数401人)

1.原則6【顧客にふさわしいサービスの提供】(注1)
2.2021年11月26日(金)~12月1日(水)に、全国の20~74歳の個人5,075人を対象に、株式会社日経リサーチを調査会社としてインターネット調査により実施。

アフターフォローの満足度は、「非常に満足」と「やや満足」で88.3%と9割近くに達しています。金融機関の営業担当者によるアフターフォローの満足度が高いことが見て取れます。

アフターフォローの満足度(回答者数401人)アフターフォローの満足度(回答者数401人)

さらに、アフターフォローの回数と満足度について見てみたところ、回数が多くなるに従って、「非常に満足」の比率が増加しています。

アフターフォローの回数と満足度(単一回答)アフターフォローの回数と満足度(単一回答)

※対象はアフターフォローを受けている人(回答者数401人)。アフターフォローの回数は年間。
出所:QUICK資産運用研究所
調査名:「個人の資産形成に関する意識調査」

また、アフターフォローの質の面に着目してみますと、満足した理由としては、保有商品の状況が理解できたことに加え、説明の分かりやすさも満足度アップのポイントとなっていました。
一方、不満足の理由については、「資産運用に関する不安が解消されなかったため」や、「有益な情報が得られなかったため」が多い結果でした。顧客に寄り添いながら、顧客の求める情報を提供し、不安の解消に努めていくことが、顧客満足に繋がるのではないかと思われます。

アフターフォロー

※対象は、営業担当者のアフターフォローに満足した人(回答者数354人)と不満足に感じた人(同47人)。複数回答。
出所:QUICK資産運用研究所
調査名:「個人の資産形成に関する意識調査」

最後に、「投資した100万円が3か月で70万円になってしまいました。どうしますか。」との質問に対して、取引金融機関で営業担当者がいる人では、「このまま運用を続ける」が59.5%で、「全額または一部を解約して預金に戻す」が17.1%だったのに対して、営業担当者がいない人では、前者が42.0%、後者が37.3%でした。理由については一概には言えませんが、営業担当者の日頃のアドバイスにより、顧客の長期投資の有効性に対する理解が進んでいる可能性が窺われ、アフターフォローの重要性を改めて認識しました。

投資した100万円が3か月で70万円に
なってしまいました。どうしますか。
投資

※対象は営業担当者がいる人(回答者数686人)、いない人(同3,843人)。
出所:QUICK資産運用研究所
調査名:「個人の資産形成に関する意識調査」

このように、顧客対応評価を調査でしっかりと把握しておくことは重要です。日経リサーチ様でも時系列で「金融METER」を実施されていますので、ご参考になさってはいかがでしょうか。

 

長澤 敏夫(ナガサワ トシオ)
株式会社日本資産運用基盤グループ 主任研究員

1984年4月 太陽神戸銀行(現三井住友銀行)入行、デリバティブ業務、リスク管理業務等に従事。
2011年1月 金融庁入庁。「顧客本位の業務運営」のモニタリング等に従事、2019年8月より主任統括検査官。
2020年12月 金融庁を任期満了につき退職。
2021年3月より現職。 同年5月より、株式会社QUICKに兼務出向。
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