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製薬会社の医療サポートに対する医師の評価調査 結果編

製薬会社は医療関係者や患者向けに、様々なサポートをしている。患者に病気を正しく理解してもらうための資料やwebサイトの案内、治療生活に役立つ情報の提供などだ。日経リサーチは日経メディカルオンラインに登録している医師に、製薬各社の取り組みへの評価や、どのようなサポートを必要としているかを聞いた。その調査結果を紹介する。

疾患の中でも、がん領域は製薬会社が製品の提供以外で取り組むことは多い。早期発見が重要なため、一般の人を対象とした疾患の啓発や早期受診の推奨は、広く社会に認知されている活動だ。診断が確定した後は、病気を正しく理解して治療に向き合うための支援、仕事と治療生活の両立支援など、患者と向き合う医療関係者を様々な情報やツールを提供してサポートをする。

サポートが役に立っている企業のトップはメルクバイオファーマ

今回の調査は大腸がんの治療薬を取り扱う製薬企業13社、血液がんの治療薬を扱う14社を対象に、実施している製品以外のサポートが自身の治療に役立っているかを、「とても役にたっている」から「まったく役にたっていない」の5段階評価で尋ねた。
大腸がんで「とても役にたっている」のトップはメルクバイオファーマ。以下、日本イーライリリー、中外製薬があがった。 血液がんでは中外製薬がトップとなり、以下、小野薬品工業、アッヴィ、武田薬品工業が上位にあがった。

図1.医療サポートがとても役に立っている企業ランキング上位

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異なる製薬各社のサポート内容

各社の評価の違いは、どこからくるのだろうか。各社のサポートの内容をみると、それぞれに特色があり、疾患によっても異なる。例えば大腸がんでは

患者へのインフォームドコンセント に活用できるハンドブックやブックレットの提供でバイエル薬品が13社平均を10ポイント上回った。地域医療連携では協和キリンが、服薬指導に関する薬剤師への助言やサポートではブリストル・マイヤーズスクイブがいずれも平均の倍以上だった 。

図2.どのようなサポートを受けていますか。(あてはまるものすべて)

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医師が求めている情報は、副作用対策、緩和医療への橋渡し、病気の理解支援

医師に、必要とされるサポートについて自由記述で尋ねた。大腸がんでは、副作用対策に関する記述が多く見受けられ、「患者自身が行える副作用対策や、受診が必要かどうかや、重症度が判断できるパンフレットが欲しい」(30代私立・一般病院 医長)、「副作用によって必要な病病連携の仲立ちをして欲しい」(40代国立・公立病院 助教)といった回答が目立った。また、「民間療法などのエビデンスのない治療の情報も少なくない。メーカ―から適切な情報発信があると良い」という声も聞かれた。
血液がんでは、病気の理解に役立つ支援を求める声が多く、「患者が疾患を勉強しやすいサイトがあると助かる」(40代、大学病院 講師)、「患者の生活指導ツールが必要」(60代以上、私立・一般病院 副院長)、「コロナ禍で役立つ実践的なサポート」(60代以上、国立・公立病院 部長)など、より具体的で実践的な要望が多かった。

製品以外の活動、各社の企業イメージにも影響

医師の製薬会社に対する評価の多くは、提供する製品の品質、効能・効果、安全性に関するものが多くを占めるのは当然だ。ただ昨今、各社の企業イメージは、製品だけではない要素からも醸成される。前述のように、医師は患者と向き合う中で、製薬会社のサポートを必要とし、様々な視点で企業を評価している。具体的に、どのような印象を受けているのか。各社の評価を見ていくと、各社の印象の違い、特徴が見えてくる。

今回の調査では、製薬会社の印象評価を製品周辺に関するもの、製品以外の周辺に関わるもの合計17項目で聞いた。17項目は、各社が取り組んでいることや企業姿勢として打ち出している項目で、イメージがある方がプラスに働く項目だ。印象の量、総量が多いほど、イメージが強いと判断できる。下記の図4は、企業イメージの総量の多い順に5社並べた。表のA列は企業イメージの回答の全体総量、B列は製品を通じたイメージ総量、C列は製品以外のイメージの総量を表している。企業により、印象の違いが見てとれる。ファイザーは最も印象が強く、製品を通じても製品以外からも他社と比較して、明確なイメージ、印象を醸成されている様子が伺える。中でも血液がんにおいては、製品以外のイメージが製品を上回る。

図3.企業イメージ総量が多い順 トップ5社

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具体的な印象の違いを見てみよう。ファイザーは「医療従事者視点に立った製品開発をしている」で群を抜いてトップ。「医療従事者が行う患者の疾患啓発や医療サポートの手助けをしている」、「患者向けの情報提供にも熱心である」の評価も高い。今回、製品以外の印象が強いバイエル薬品は「患者の疾患啓発に熱心である」、「患者向けの情報提供に熱心である」でトップの印象評価を受けている。これらは各社が注力している分野の違いを表しているとともに、イメージが醸成されている、伝わっていることの表れといえそうだ。

図4.各社の企業イメージ(あてはまるものすべて)

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これら製品以外の活動を通じてブランドの形成まで至っている企業は、中外製薬、ファイザー、バイエル薬品など少数にとどまる。その他多くの企業は資材やツールは使っていても、企業イメージの醸成にまでにはいたっていないのが実情と言えそうだ。

次回のコラムはデータ活用編として、イメージ醸成に取り組む効果と、そのための調査の活用方法について解説する。

調査手法 インターネット調査
調査対象者 日経メディカルオンラインに登録している、直近1年以内に大腸がんの治療薬処方の実績がある医師
調査実施期間 2022年5月16日~20日

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