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高評価企業の社内浸透策本業直結で取り組み強化

7272_ext_03_0日経リサーチは日本経済新聞社が2019年に初めて実施した「SDGs経営」調査の結果を独自に分析しました。「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」などテーマごとの日本企業全体の取り組み状況や、高評価企業の取り組み事例について紹介します。掲載は毎週木曜日、10回を予定しています。
今回は「SDGs経営」調査から高評価企業の社内浸透策について紹介します。

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SDGs経営で難しいのは社員への浸透策だ。ホームページに会社が取り組んでいる項目を列記しただけでは実効性は上がらない。高評価企業はどのように社内への浸透を図っているのか。回答企業全体(637社)のうち上位の「総合偏差値65以上」(34社)について分析した。

7割近くが「情報発信」

回答企業全体の社内浸透策のトップ5をまとめたのが表1だ。トップは比較的取り組みが容易な「イントラネット、ポスター等による情報発信」で、7割近い企業が実施している。これに、「中期経営計画へ組み込み従業員に周知徹底」が続く。計画への組み込み、社員への周知徹底はいずれも容易ではなく、実施企業は半数に満たない。

表1 環境・社会・経済の課題解決(SDGsへの貢献)について、
どのように社内へ理念を浸透していますか。(いくつでも)(%)

▼社内浸透策トップ5 全体値(N=637)
1 イントラネット、ポスター等による情報発信 65.9
2 中期経営計画へ組み込み従業員に周知徹底 48.0
3 年次計画へ組み込み部門や従業員に周知徹底 41.0
4 事業分野毎の目標・活動計画を設定 36.6
5 SDGsバッジの配布や名刺へのSDGsロゴの印刷 32.0

次に、社内浸透策について「総合偏差値65以上」の高評価企業の特徴を見るために、高評価企業と全体平均との差を調べた(表2)。上位5項目で最も差が大きかったのが「SDGsへ貢献する事業・投資を促す仕組み」。高評価企業の70.6%が実施しているのに対し、全体では11.9%にとどまる。次が「部門評価や従業員の人事評価への取り込み」で実施率は70.6%とトップと同水準だった。本業に直結する仕組みづくりや、経営の根幹である「評価」の仕組みにSDGsを取り込んでいる。SDGsへの取り組みに対する本気度が企業への評価に表れていると言える。

表2 環境・社会・経済の課題解決(SDGsへの貢献)について、
どのように社内へ理念を浸透していますか。(いくつでも)(%)

▼「偏差値65以上」層のスコア差トップ5 スコア差
(全体比)
全体値
(N=637)
偏差値65
以上(n=34)
1 SDGsへ貢献する事業・投資を促す仕組み 58.7 11.9 70.6
2 部門評価や従業員の人事評価への取り組み 58.0 12.6 70.6
3 SDGsへ貢献するビジネス創出促進の仕組み 53.0 23.5 76.5
4 役員評価・役員報酬への取り組み 50.8 11.0 61.8
5 年次計画へ組み込み部門や従業員に周知徹底 50.2 41.0 91.2

「SDGs経営」推進プロジェクト 小林万希子

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次回のテーマは「事業によるSDGsへの貢献が優れている企業」です。

日経「SDGs経営」調査は上場企業を中心に600社以上のSDGs経営に関する非財務データを集めています。日経リサーチが提供する「SDGs経営調査活用サービス」は自社の評価だけでなく、指定した他社の平均値との比較や偏差値別、業種別の特徴も確認できます。SDGs経営データをぜひ貴社の実践力向上にご活用ください。ご気軽にご相談ください。

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