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きらりと個性光る高評価企業の取り組みユニ・チャームにみる高得点指標と事例紹介

7272_ext_03_0日経リサーチは日本経済新聞社が2019年に初めて実施した「SDGs経営」調査の結果を独自に分析しました。「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」などテーマごとの日本企業全体の取り組み状況や、高評価企業の取り組み事例について紹介します。今回第10回で連載を終了します。
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総合評価4.5以上の企業における2018年度売上高C7412-01

SDGs経営調査では、必ずしも日本屈指の巨大企業のみが高評価になるとは限らない。総合評価4.5以上を獲得した34社のうち2018年度売上高1兆円未満は8社あり、いずれも自社の個性を生かした魅力ある取り組みを展開している。今回はその中からユニ・チャームの事例を紹介する。

ユニ・チャームは「SDGs戦略・経済価値」で4.5を獲得しており、評価指標では「報告とコミュニケーション」と「ビジネスでの貢献」が高得点となった。

「報告とコミュニケーション」:ステークホルダー・ダイアログの活用

SDGsを踏まえたCSR活動のテーマを設定するには、ステークホルダーの利害や関心事項、企業活動のステークホルダーへの影響を把握する必要がある。ユニ・チャームでは、社内外関係者とのヒアリングを通じて「環境テーマ」と「社会的テーマ」に応じた課題を抽出し、それぞれ「ステークホルダーの関心の多寡」と「当社の事業展開への影響の強弱」で分類。検討を重ねたうえで、5つのCSR重要テーマを選定した。

ユニ・チャームのマテリアル・マトリクス

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CSRの重要テーマや重要取り組み指標(KPI)づくりでは、CSRのアドバイスなどにあたっているロイドレジスタージャパンから意見を聞いた。自社の環境・社会活動に対する取り組みを検討する際に、有識者や専門家と双方向の対話をすることを「ステークホルダー・ダイアログ」と呼び、会議、ワークショップ、インターネット上の討論会など様々な形式で行われる。
SDGsの取り組み策定では、自社都合に流れさない課題特定が必要となる。専門家からの目線を入れ、課題を過不足なく網羅的にとらえ客観的に分析できるアプローチとして今後さらに注目が高まるだろう。

「ビジネスでの貢献」: SDGs貢献につながる海外展開や新事業

ユニ・チャームでは、既存事業を軸にSDGsの課題解決をビジネスチャンスにつなげている。インドやミャンマーなど新興国の女子学生に向けて生理のメカニズムや適切なケアなどを教える「初潮教育」を実施。2014年から延べ75万6333人が参加している。2019年にはインドで女子学生だけではなく、充分な知識がない農村部での成人女性にむけた月経教育へと拡大した。女性の健康や衛生管理を啓蒙することで新興国の女性の社会進出を後押し、結果として海外市場における自社商品の需要拡大や認知度向上へとつなげる。

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インドの初潮教育

また、2015年から「使用済みの紙おむつのリサイクル事業」を開始。紙おむつから素材のパルプや高分子吸収ポリマーを取り出す独自の技術を開発した。2016年から鹿児島県志布志市と実証実験を行い、2020年中に使用済み紙おむつを分別回収して処理し、紙おむつの原料として再利用する循環モデルの運用開始を目指している。

水分を含んだ使用済みおむつは高温で焼却処分するため、高齢化による成人紙おむつの廃棄量の増加とともに自治体の焼却負担が増している。紙おむつリサイクルは、自治体の負担軽減、パルプ製造の森林資源の保全、CO2排出削減に貢献する。欧州を中心に「サーキュラーエコノミー」として既存の資源を再生、循環させていく経済戦略が広がる中、ユニ・チャームが目指す循環モデルは新たなビジネスとして成長することが期待される。

「SDGs経営」推進プロジェクト 槙純子

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