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在宅勤務利用率、6割超す
新型コロナ禍で急増
【連載】日経「スマートワーク経営」調査結果解説コラム 第2回

前回のコラムでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、実に85.3%の企業が在宅勤務制度の新規導入・対象拡大に踏み切ったことを紹介しました。
今回は在宅勤務をはじめとした場所に関する多様で柔軟な働き方を実現するための企業の取り組みをみてみます。
日経「スマートワーク経営」調査では2017年度の第1回からこの取り組みについて尋ねています。質問は一貫して、在宅勤務、サテライトオフィス、リモートワークという3つの制度の有無を尋ねるスタイルです。

図1.場所に関する働き方制度の導入企業(%)
図1

各制度とも右肩上がりで導入企業の比率が高まっていることがわかります。2020年は新型コロナ禍を受けた一時的な対応の場合は除いており、それらを含めれば更に導入率は上昇します。
このうち、在宅勤務は第1回調査から具体的な利用実態や制度内容について質問しています。制度の普及に比例して実際の利用者も増えているのでしょうか。

図2.在宅勤務導入企業における正社員の平均利用率(%)
図2

2020年度の調査ではコロナ前と後(20年4月以降)に分けて利用者数を聞き、正社員全体の利用率を算出しましたが、コロナ後の利用率はコロナ前の4倍強に跳ね上がり、50%を超えました。従来は利用率が非常に高い一部の企業によって平均が押し上げられ、各年の平均値と中央値に大きな差があったのですが、中央値もコロナ前の3.7%がコロナ後は一気に60%となり、平均値との差がなくなりました。実施企業の多くで半数以上の社員が利用しているとみてよさそうです。
利用率の上昇は使いやすいよう制度が改善されていることが一因としてあげられます。17年度の調査では、利用に条件をつける企業が多く、「育児を理由として利用できる」が51.6%でトップ、「介護を理由として」が44.6%で2位となり、「理由にかかわらず制度を利用できる」企業は42.3%にとどまっていましたが、20年度の調査では「理由にかかわらず」利用できる企業が60.5%に増加しました。

ただ、利用可能な日数は過去4回の調査とも毎月平均12日台で変わりませんでした。週に約3日となる計算です。条件・日数ともに、新型コロナの一時的な対応は含まれませんが、政府が緊急事態宣言で企業に要請している「出勤者数の7割削減」を実現するには、もう一段の取り組みが必要になりそうです。21年度の調査で、2度の緊急事態宣言を経てルール設定がどのように変わったか注視したいところです。

図3.在宅勤務制度の利用条件(%)
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モバイルワークについても見てみましょう。モバイルワークに利用できる情報端末に関しては18年度から調査しています。次表は全正社員に対する配布率ですが、モバイルPCの配布率は毎年6ポイント台の伸びを記録しています。モバイルPCか新型コロナ禍への対応を目的とした臨時在宅端末の少なくともどちらか1つは60%以上の正社員に配布しており、一部の正社員に限定して配布するという運用は過去のものになっているようです。

図4.モバイルワーク用情報端末の全正社員配布率(%)
図4

情報端末の機能としては、モバイルPCが90%以上で社内やクラウド上の情報にアクセスできるのに対して、スマートフォンで利用できる機能はメールの送受信や外線電話などに限定されており、「内線電話」は61.7%、「社内で利用しているクラウドサービス」の利用は52.5%にとどまりました。セキュリティー上の懸念があるのかも知れませんが、社内ネットワークやクラウドサービスへのアクセスはPCからの利用を基本とする企業が多いようです。

また、新型コロナのための臨時対応も含め、在宅勤務やモバイルワークの環境整備として取り組んでいることを聞いたところ、「柔軟な労働時間の設定」が55.4%でトップになりました。「モニターなどの貸与または購入補助」は2位でしたが28.0%と大きく水をあけられるなど、資金的な手当ての必要な取り組みは割合が低く、とりあえずコストのかからない施策を導入し、本腰を入れるか状況を見ている様子がうかがえます。

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