顧客データ分析「ミルフィーユ」活用事例

顧客データと大規模生活者調査データを融合した“ビッグデータ”の活用で潜在ニーズを顕在化

有望顧客リストを作成し、営業活動に役立てる第一生命保険

第一生命保険株式会社 能田邦明氏
第一生命保険株式会社
生涯設計教育部 部長
能田邦明氏

生命保険会社大手、第一生命保険では日経リサーチが提供する調査データベースと自社で保有する顧客データを融合させ、そこから得られた分析結果を営業活動に生かす取り組みを進めている。具体的には一体何が行われているのか? その背景や内容について、第一生命保険 生涯設計教育部 部長の能田邦明氏に話を聞いた。

 

営業支援にデータ活用を考えるもこれと言うサービスがない! ?

現在、第一生命では顧客データと第三者データを融合するというマーケティング・アナリティクスに取り組んでいるというが、なぜこのような取り組みを始めたのか?

能田氏 私どものビジネスモデルは約4万名の営業職員で成り立っています。営業職員が毎日お客様を訪ね歩き、人間関係、信頼関係を築いた上で、ライフイベントの変化などの情報を得ながら、お客様のニーズにあった保険を提案していくのです。基本的にこのやり方は今後も変わりませんが、人口が減っていることやニーズの変化・多様化により、売れ筋商品も変化しています。外資系やネット生保、銀行窓販、乗合代理店など、チャネルが多様化し、競争が激しくなっていることもあり、私たち「生涯設計教育部(能田氏が所属する、社内の営業支援業務全般を担う部署)」には、これまで以上に営業職員の活動をバックアップすることが求められるようになりました。その方策の1つがデータの活用でした。今までもお客様の基本的な属性―性別、年代、家族の情報、過去どのような保険に入っていたかなどの情報の活用はしてきましたが、他の業界で行われているような、より先進的なデータ活用によって、勘や経験とは別の次元でターゲットを作っていくことにチャレンジしようとした訳です。

日経リサーチをパートナーに選んだ経緯は?

能田氏 元々、データ活用の取り組みは、社内に点在する顧客データを一元的に管理、活用することを想定して始めました。しかし、作業を進めていくうちに、社内にある情報を集めただけでは、思ったような成果が出ないと気付きました。なぜなら、生命保険は加入いただいてから保険金をお支払するまでの期間は長いですが、お客様との接点頻度が小売業等と比べて少なく、得られるお客様の情報量も比較的少ないからです。そこで顧客データでは分からない部分―ライフスタイルや関心事項などの情報を補うために第三者データサービスの活用を考えたのですが……。

マッチするものになかなか出会えなかった?

能田氏 例えば保険加入はライフイベントがきっかけになりますが、そのライフイベント情報を得られるデータがあまりありません。また、そのようなデータがあったとしても、データを使う目的はターゲットリストにすることなので、顧客データと融合できないと意味がない訳です。その点、日経リサーチのサービスなら、利用できる調査データはライフイベント情報をフォローしていますし、日経リサーチ社の顧客データ拡張分析支援サービス「ミルフィーユ」でデータの融合もできる。今年1月頃、たまたま雑誌で「ミルフィーユ」の紹介記事を目にして「これだ!」と思いましたね。


大規模調査データと自社データを融合して分かること

日経リサーチによる「シングルソースデータベース」と顧客データを融合して、顧客像を浮き彫りにする「ミルフィーユ」を利用した感想は?

能田氏 データをマッチングさせ、既存顧客に近いデータを推定することで、顧客データに不足している部分―金融資産情報、ライフステージ、お客様の関心事などが明らかになるのは大きな魅力ですね。また、データベースのサンプル数の多さも見逃せないポイントです。生命保険にフォーカスした20万人規模のアンケートデータはこれまで見たことがありません。自社で調べると膨大なコストがかかりますので、このようなデータを活用できるのはありがたいです。

具体的には、どのように活用しているのか?

能田氏 まず、日経リサーチには「シングルソースデータベース」のデータを当社の顧客データにデータ融合してもらったうえで、有望顧客の予測モデルを構築してもらいました。そのモデルから有望顧客化する確率値を顧客ごとに算出し、有望顧客リストを作成。また、そのリストには、「シングルソースデータベース」のライフスタイルや関心事項などの調査データを紐づけて営業職員に提供しています。9月からトライアルということで、限られた支社を対象に展開し始めたところですが、結果を踏まえつつ、今後は全国に広げていく考えです。

取り組みの狙いは?

能田氏 保険を販売するにあたって重要なことは、いかにお客様の潜在ニーズを顕在化させていくかということです。お客様は常にニーズに気付いている訳ではありません。そこで、適切な情報提供をし、「こういう備えをするのがお勧めです」というようにニーズを喚起していくのですが、この取り組みによって、お客様が本当に必要としているニーズを明らかにできる。例えば、これまで「死亡保障」一辺倒でタッチしていたお客様に、実は「介護」に対するニーズがあるということが分かるのです。データ融合によって、職員が知らない、あるいは気付いていない情報を提供することでクロスセル、アップセルにつな げることが、現在の最大の目的です。
「ミルフィーユ」の活用によって広がる可能性とは?

第三者データを使うメリットについてどう考えているか?

能田氏 これまで、お客様と話をして仕入れた有益な情報は各営業職員のところで止まっていました。企業としては、そのような情報を様々な情報と結合して1つの顧客像を作っていく必要があります。かといって、営業職員からお客様の情報を集約するのは、なかなか困難です。しかし、外から情報を仕入れることで、この課題の解決に近づくことができました。また、お客様に的確な情報を提供することは、職員の経験を頼りに行うようなところがありますが、今回の取り組みによって誰でもそれが行えるようになる。その結果、全体の営業力の向上及び均質化につながっていくことにも期待しています。

今後の展望は?

能田氏 現在、約1,000万の契約者様に対して、クロスセル、アップセルを狙って展開していますが、将来は見込客の獲得にも使っていきたいと考えています。さらにもう少しマス・マーケティング的な観点から言えば、私どもがこれまであまりリーチできていなかった若年層の方へのマーケティングにも活用していきたい。ただ、現在はとにかく今回のトライアルをしっかり進めて、結果を出すことが第一。ビッグデータの活用にしろ、情報の一元化にしろ、IT基盤の整備にしろ、結果が伴わないと大きな投資につなげられませんから。結果が出るのはもう少し先になると思いますが、プロジェクトを進める中で様々な気付きも生まれていますし、手応えを感じています。期待は大きいですね。


※こちらの内容は「日経ビッグデータ」11月号に広告掲載されたものです。
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