システム開発および製造業(素材・原材料、電子部品、機器)の4業種における取引拡大意向につながる要因
日経リサーチには、アンケートの選択肢や数値データなどの定量データとコメントなどの定性データを同じ土俵で、一気通貫に、統計的に担保した分析が可能なツールKeyExplorerがある。
法人ビジネスのシステム開発および製造業の3業種-素材・原材料、電子部品、機器*―といった計4業種について、顧客企業からの評価をいただく顧客満足度調査(以下、CS調査)をKeyExplorerを用いて分析した結果をご紹介する。
※当調査は、日経リサーチによる独自調査で、選定・購入・利用の関与者にそれぞれの仕入れ元(購入元)についての評価を、一律の評価軸で聞いている。(特定のIT企業や製造業の企業についての評価ではありません)
*製造業3業種について、詳しくは最後に記載してある調査概要をご覧ください。
【システム開発業について】
KeyExplorerを用いてシステム開発についてのCS調査の深掘り
通常、顧客満足度調査では、総合指標とそれを左右する詳細な評価項目などについて質問する。当コラムでは、まずはシステム開発における総合指標の一つの「取引拡大意向」を左右する要因を探索する形で、分析をご紹介する。
分析の対象区分を決める
取引拡大意向は5段階評価で聞いており、一番高い「現状の製品・サービス(商品)の領域を超えて別の領域の発注もしたい」、次に高い評価、それ以下の3層に分けてみていく。
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KeyExplorerを用いて分析対象の中で取引拡大意向5の特徴を見る
KeyExplorerを用いて、取引拡大意向で一番高い評価をした層とそれ以外の層を比べた場合、統計的に特徴的な選択肢、コメント(自由回答)の単語ベース、それぞれ上位10項目が下記になる。
※下表は特徴量のランキング表
※特徴量:分析対象の層とそれ以外を比べた際に、特徴の度合いを統計的な有意性をもって算出した数値。
システム開発業で、取引拡大を促進する要素は、さまざまな接点での「人」+会社としてのバックアップ体制
下表をみると、営業担当者、現場担当者、アフターサービス担当者の知識・経験・理解・提案や解決力がものを言うことがわかる。加えて、そのレベルは5段階評価の一番高い「満足」が求められている(「やや満足」ではない)。
続いて、障害発生時のリカバリー力、現場のリソース調整を含めた組織的な対応力、スケジュール管理、チャレンジ精神や先進性がある企業文化についても、「満足」とする傾向も特徴的で、接点での人の評価に加えて会社としてのバックアップ力も重要なことがわかる。
KeyExplorerでは、選択肢とコメントの単語も同じ土俵で統計的に特徴を算出できるが、
コメントの単語の特徴量のランキングをみても「対応」「助言」「経験」といった単語が、上位にあがっており、それを裏付けている。

単語の上位10位の中を見ると、「対応」「追加」「提案」が注目されるが、KeyExplorerはドリルスルーでそのまま原文をみることができるので、その原文にあたって、傾向をまとめた。
「対応」については、主にトラブル時の対応が多くあがっており、トラブルはネガティブな事象ではあるものの、そこでの対応をうまく対応すれば満足、ひいては取引拡大意向につながることがうかがえる。
また、費用や業務仕様に対する柔軟な「対応」も目立つ。実際、「追加」が含まれる原文をみると、費用・機能や仕様の追加に対してスムーズに対応している言及が特徴的だ。
「提案」については、もちろん顧客側のニーズを把握した提案がベースになるが、顧客側の企業規模を考慮した適正な提案というのもポイントであることもわかる。
以上、システム開発業の取引拡大意向で一番高い評価に対する個別の評価の傾向をみることで、取引拡大につながるポイントを統計的に容易に把握できることを紹介した。
同様に、取引拡大意向が少し落ちる層(上から2番目:取引拡大意向4)や、それ以下の層(取引拡大意向1-3)についても分析をすれば、前者については、どうすれば満点の評価を得られるのか? 後者については何が問題なのか? 何をすればいいのか? といった施策につながる分析が可能となる。
下記は、システム開発業の取引拡大意向による3層の特徴についてまとめたものである。

製造業の3業種の特徴:同じ取引拡大意向でも決め手が違う
システム開発業について、ステップごとに分析について紹介してきたが、製造業の3業種についても同様に分析すると、取引拡大意向=一番高い評価を付けた層(取引拡大意向5)の評価の特徴は下記のようになる。

■調査概要
・調査時期:2024年7月実施(インターネット調査)
・対象者:企業で購入/契約する、下記製品やサービスの選定・購入・利用の関与者
*システム開発:自社の基幹システム、業務システムの開発(N=784s)
*素材・原材料:化学・化成品、鉄鋼、ゴム・プラスチックや食材など(N=264s)
*電子部品:半導体、LSI、コンデンサ、スイッチ、センサ、LEDなど(N=155s)
*機器:産業用装置、計測・計量機器、工作機械、制御機器など(N=202s)
この記事を書いた人
- エグゼクティブ・コンサルタント
- 市嶋 信子
国内外のCS・CX、マーケティング・営業、ブランディング、経営戦略・ビジョン策定などの多くのプロジェクトに従事。特に、B2B企業向けのCS・CX、営業改革を専門とする。アンケート結果に加え、企業が保有する実態データも合わせた分析も行い、データドリブンでの実践的な企業課題の解決を支援している。
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