「貯蓄から投資へ」、ビジネスパーソンが直面する「金融リテラシー」の壁
新NISAの拡充や確定拠出年金(DC)が広まり、資産形成に関心を持つ人が年々増えています。
しかし、私たちは制度を利用するうえでどれくらい「正しい知識」と「自律的な行動力」を身につけられているでしょうか。
日経リサーチが全国のビジネスパーソンを対象に実施した、金融リテラシーを測るベンチマーク調査(実施:2025年7月)からは、今のリアルな実態が把握できます。
ビジネスパーソンの実態からみえる企業が必要な「金融リテラシー」への取り組む方向性についてまとめてみました。
▼ベンチマーク調査 概要

1.若年層の「実践とリスク管理」の課題、年齢とともに高まるリテラシー
本調査では、回答者の金融リテラシーを「家計管理」「生活設計」「金融基礎知識」「経済理解」「金融行動」の5側面から測定し、100点満点の総合スコアを算出しています。
回答者全体の平均スコアは「53点」でした。これを年代別に見ると、明らかな差が出ています。
年代別平均スコア比較

- 20代以下(平均45点): 平均を大きく下回り、最も低い「E判定」が59.4%と約6割を占める
- 30代(平均50点)/ 40代(平均51点)/ 50代(平均53点)
- 60代以上(平均57点): 知識・行動ともにトップで、総合スコアでも最高値を記録
20代以下は、 金融教育を受けて知識の土台はあるものの、経験不足やSNSの情報過多からトラブルに巻き込まれやすい傾向があります。 結婚や住宅購入、定年退職といったライフイベントを通して、 リテラシーが磨かれていくことがわかります。
2. 投資行動が先行し、追いつかない「金融・経済知識」
実際の投資についての実態を見てみましょう。NISAの利用率は42.8%に達し、企業型DCも29.6%、iDeCoが18.8%と、多くのビジネスパーソンが何らかの非課税制度を利用するようになりました。
しかし、その「行動」の裏で、「知識」が追い付いていない状態も見えてきました。

3. リスクに対する警戒心の薄さ
具体的にどのような知識が不足しているかについて、正誤形式質問の回答傾向から見ていきます。
1つめは、インフレに対する警戒心の薄さです。「インフレ率2%・普通預金金利1%のとき、1年後の購買力はどうなるか」に対し、正しく「今日以下になる」と答えられたのは58.4%でした。約4割がインフレによる実質的な資産目減りリスクを正しく評価できておらず、長年のデフレマインドから脱却しきれていない現状が伺えます。
2つめは、金利と債券価格の「逆相関」への無理解について。「金利が上がったら、一般的に債券価格はどう動くか」という問いに、正解の「下がる」を選べた人はわずか38.4%でした。資産運用の基本ともいえる金利と債券のメカニズムを理解していない層が6割を超えている事実は、金利上昇局面に差し掛かっている現代日本において、適切なリスク管理ができていないことを示唆しています。
4. 企業の「金融教育」に求められること
ビジネスパーソンはどこでこれらの知識を得ているのでしょうか。「これまで金融経済教育を受ける機会があったか」に対し、「教わる機会はなかった」という回答が67.0%と、およそ3分の2に達しています。「教わる機会があった」中で、「会社で教わる機会があった」の割合は15.9%と1割台にとどまり、大半の従業員が「ニュースやネット(51.5%)」「テレビ(37.4%)」などから自己流で学んでいるのが実態です。
今、企業に求められているのは、単なる制度の「説明会」ではなく、『ライフプランに紐づいた継続的な対話型教育』へのシフトです。
金融リテラシー向上は、企業の「人的資本経営」と「ウェルビーイング」に直結する
今回の調査が示すのは、多くの従業員が「資産形成制度」の重要性を認識しつつも、それを活かすための『知識や判断力』が追いついていないという実態です。
お金に関する不安や知識不足は、従業員の私生活におけるストレスを生み、日々の業務パフォーマンスやエンゲージメントの低下、さらには離職リスクへとつながります。従業員が自律的な資産形成に取り組めるような本質的な教育機会を提供することは、従業員のウェルビーイングを高め、企業の持続的な成長を支える「人的資本経営」の一環として不可欠と言えるでしょう。
日経リサーチでは、従業員の金融リテラシー向上の支援として、金融リテラシーアセスメントサービス「金融Compass」をご提供しています。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の指針に基づき、「知識」「判断力」「行動」を多角的に測定することで、従業員の資産形成に対する自信や実際の行動変容を、豊富なベンチマークデータとあわせて把握することができます。従業員の自立的なキャリアを支える施策として、ぜひご活用ください。
- よく見られている人気記事
-
期待高まるAI、それでも8割の医療機関は未導入。理由は「費用対効果わからない」
ルミネ新宿が3連覇!2024年版首都圏商業施設集客力ランキング|東京駅の2施設が急上昇 「施設と駅のセンサス」施設編最新データより
何が違うか?成功する社名変更と失敗する社名変更 ー分かれ道はここにある|「ブランド戦略サーベイ」を読み解く
医療情報システム導入調査〈前編〉
今後の銀行に期待するものは? 銀行利用における年代別の重視点
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら
- よく見られている人気記事
-
期待高まるAI、それでも8割の医療機関は未導入。理由は「費用対効果わからない」
ルミネ新宿が3連覇!2024年版首都圏商業施設集客力ランキング|東京駅の2施設が急上昇 「施設と駅のセンサス」施設編最新データより
何が違うか?成功する社名変更と失敗する社名変更 ー分かれ道はここにある|「ブランド戦略サーベイ」を読み解く
医療情報システム導入調査〈前編〉
今後の銀行に期待するものは? 銀行利用における年代別の重視点
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら


