記事の概要
企業ブランディングの課題は、その必要性を「経営の言葉」や客観的な数値で説明しにくい点にある。顧客だけでなく、社員・投資家・パートナーなど多様なステークホルダーから選ばれ続けるためには、共通言語としてのブランド指標が必要となる。
新指標「ブランド戦略サーベイ1000」では、評価基準を従来の「感覚的な印象やイメージ評価」から「ブランド自体の強さ」と「商品、サービスへの貢献度」を掛け合わせた資産価値評価へと刷新し、測定企業1000社を、各社の企業ブランドの進化のフェーズにあわせて「ブランド浸透(ステージ1)」「ブランド貢献(ステージ2)」「価値維持・拡大(ステージ3)」の3段階に分類した。
分析結果から、多くの企業が認知獲得後の「価値転換の壁」で足踏みしている実態が判明した。また、BtoCやBtoB、金融・インフラ業など、業種・業界によって認知向上や購買貢献へのハードルの高さが大きく異なることも浮き彫りになった。
業種に応じた適切なゴールやKPIを設定するために、自社のポジションをぜひ確認してみてほしい。
ブランド戦略を経営の言葉で語れていない、という課題
「あの競合のようにCMをやりたい。コーポレートブランドを強化したい。でも社長からは営業強化が先だろうと言われ、話が進まない」―担当者からしばしば聞かれる悩みである。
根底にあるのは、なぜコーポレートブランディングに取り組む必要があるのか。経営の言葉で説明できないからだ。そもそも、ブランドとは、目に見えないフワッとしたもの。今、自社のブランド力が競合社と比べてどの程度で、誰に対して勝って、誰に対して負けているのか。将来の売上や、就職希望者の数にも影響が出そうなことが数字で見せることが出来たならば、この社長は、話の続きを聞いてくれたかもしれない。
“コーポレートブランディングに取り組む理由”、それは「選ばれ続ける企業」であるためだ。「お客様」に選ばれることに注力すればよかった時代から、今はどうだろう。共に働いてくれる人、投資をしてくれる人、新事業開発を共に歩むパートナー。選ばれたい対象は増える一方だ。時々は優先順位も変わる。最近は、AIにまで選ばれる必要性も出てきた。
様々なステークホルダーに、自社をどのように認知して、理解してもらうのか。やはり共通言語は必要で、その役割を企業ブランドは担ってくれるはずだ。
| ステージ1 |
ブランド浸透を促進するフェーズ |
ブランドの認知やエンゲージメントの力が相対的に低く、強化が必要となる初期段階 |
| ステージ2 |
ブランド貢献を高めるフェーズ |
ブランドの認知や浸透は進んでいるが、購買や利用を促進する力がまだ弱い段階 |
| ステージ3 |
ブランド価値を維持・拡大するフェーズ |
すでに購買や利用を促進する力があり、今後も維持・拡大をめざす段階 |