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ブランド戦略サーベイ1000 連載「上位になる会社は何が違うのか」第1回
そのブランディング施策は、今の自社に効いているか?
生活者から見た1000社分析でわかった、順位帯ごとに差がつく「3つの段階」

記事の概要

企業の顔は、どこから見えてくるのか。 生活者の評価で決まる順位(ブランド戦略サーベイコンシューマー編の総合順位)で1000社を7つの順位帯に分けて比べると、差がつく場所は順位帯によって変わっていた。

認知フェーズ(301〜1000位)では「何の会社か」、利用・理解フェーズ(31〜300位)では「使われ、中身まで知られているか」、企業評価フェーズ(上位10社)では「企業としてどう見られているか」である。

自社の現在地に合わせて、ブランディング施策の優先順位をどう決めるかの手がかりにしたい。

この記事で使う指標
  • 順位:ブランド戦略サーベイコンシューマー編の総合順位(生活者の評価だけで算出した公式の順位)。同じ順位の会社がいるため、順位帯によって社数が1社前後する
  • 認知度:その会社を知っている人の割合(「企業名だけ知っている」を含む)
  • 事業理解率:製品・サービス・事業の内容まで知っている人の割合
  • 利用経験率・現ユーザー率:その会社の製品・サービスを購入・利用したことがある人/いまも購入・利用している人の割合
  • 愛着度・先進性・独自性:「どの程度愛着を感じていますか」「どの程度先進性(独自性)があると思いますか」を0〜5の6段階で聞き、4点か5点をつけた人の割合
  • 就職意向:その会社で働きたいか(働く予定がない人は周囲に薦めたいか)を6段階で聞き、4点か5点をつけた人の割合
  • 企業イメージ(「チャレンジ精神がある」など):その会社の印象として、その項目を選んだ人の割合
  • 図2の11項目:認知度・事業理解率・利用経験率・現ユーザー率・信頼度・愛着度・独自性・先進性・推奨度・支持・共感。順位帯どうしの差は、どの段もこの11項目で比べている
  • 母数は、認知度と事業理解率が回答者全員、それ以外はその会社を知っている人。数値はすべてコンシューマー編
  • ポイントの差は丸める前の値で計算しているため、表示した値どうしを引いた差と0.1ずれることがある

1.ブランド評価で差がつく「3つの段階」とは

 ブランド評価を上げたい、という相談はどの会社からも受ける。多くの会社は、すでにさまざまな施策に取り組んでいる。だとすれば問いは「何をするか」ではなく、「今の自社の位置で、どこに結果が表れやすいか」になる。

 この回は、生活者から見た1000社を取り上げる。生活者の評価で決まる順位で比べると、差がつく場所は大きく3つの段階に分かれていた。

・認知フェーズ(301〜1000位):何の会社かが知られているか(認知と事業理解)

・利用・理解フェーズ(31〜300位):使われ、事業の中身まで知られているか(利用と事業理解)

・企業評価フェーズ(上位10社):企業としてどう見られているか(独自性・先進性と企業イメージ)

※11〜30位は、一つ下の31〜50位との差が小さく、どちらのフェーズの特徴もはっきりしないため、どこにも含めていない。

2.認知フェーズ(301〜1000位)で差がつくのは「認知度と事業理解」

 1000社をコンシューマー編の総合順位で7つの順位帯(501〜1000位、301〜500位、101〜300位、51〜100位、31〜50位、11〜30位、1〜10位)に分け、順位帯ごとの平均を比べた。

 いちばん下の501〜1000位(500社)と、その一つ上の301〜500位(199社)で最も差が大きいのは認知度で、41.2%から75.3%へ34.1ポイント。事業内容の理解も15.7%から36.0%へ20.3ポイント上がる。一方、愛着度は15.8%から15.9%とほぼ変わらず、先進性は26.2%から24.8%とわずかに下がる。

 501〜1000位では、名前を知っている人が平均で4割いても、事業の中身まで知っている人は2割に満たない。名前は届いていても、どんな会社かという顔までは見えていない。

 社数15以上の業種で見ると、501〜1000位には、不動産業の82%、建設業の71%、機械の69%、その他金融業の68%が入っている。このうち建設業と機械は、この順位帯の中でも認知度が低い(平均35.6%・32.9%。順位帯全体は41.2%)。

 この順位帯にも、知っている人からはっきりと評価されているBtoBの会社はある。工場の自動化を支えるファナック(認知度29.7%)は、独自性36.5%、先進性41.9%と、どちらも全1000社の平均(独自性27.6%、先進性26.9%)を上回る。BtoBの会社であっても、知っている人には「ほかとは違う会社だ」と伝わっている。

記事01_第1回_図1順位帯ごとの認知度

図1 順位帯ごとの認知度

 

3.利用・理解フェーズ(31〜300位)で評価を分けるのは「利用経験と事業理解」

 101〜300位(201社)と51〜100位(50社)の間では、差がつく場所が変わる。

 最も大きく動くのは利用経験率で、51.2%から70.7%へ19.5ポイント。現ユーザー率も29.9%から47.2%へ17.3ポイント、事業内容の理解も53.2%から69.6%へ16.3ポイント上がる。愛着度も21.8%から30.9%へ9.1ポイント上がるが、上がり幅は利用と事業理解ほどではない。認知度は87.1%から94.8%へ上がり、51〜100位から上はどの順位帯もほぼ95%以上で並ぶ。

 この区間で差がつくのは、名前が知られているかどうか(認知度)より、実際に使われ、事業の中身まで知られているかどうかである。使われた経験の多さと、どんな会社なのかが伝わっていることが重なっている。さらに上の51〜100位と31〜50位の間でも、最も差が大きいのは現ユーザー率(12.9ポイント)だった。

 ただし、銀行・保険・不動産・建設・機械のように、業種全体で利用経験率が低い業種(業種の中央値は11.1〜19.4%。全社の中央値は30.5%)では様子が違う。この5業種で31〜300位に入るのは142社中11社。301〜1000位との差は利用経験率が16.0ポイントと全社(30.1ポイント)の半分ほどにとどまる。差が大きいのは認知度(+31.9ポイント)と、事業の中身まで知られているか(事業理解率 22.5%→52.8%)だった。

 農業機械のクボタ(195位)や住宅の積水ハウス(205位)は、利用経験率は1割前後(12.2%・10.0%)だが、事業の中身まで知っている人は4〜5割(42.6%・53.6%。全社平均は33.0%)いる。業種による前提の違いは、第4回で詳しく見る。

記事01_第1回_図2

図2 順位帯ごとに最も大きく動く項目

 

 

4.企業評価フェーズ(上位10社)を分けるのは「企業としての独自性と先進性」

 上位10社と、その下の11〜30位(21社)の間では、また別の項目で差がつく。なお、31〜50位と11〜30位の間は差が小さく、最も大きい事業理解でも5.6ポイントだった。

 この区間で、11項目のうち最も差が大きいのは独自性で、42.6%から50.6%へ8.0ポイント。独自性の差は、順位帯の中でもこの最後の一段が最も大きい。

 先進性は、11〜30位までは順位帯が一つ上がるごとの差が大きくても3.8ポイントだった。ところが11〜30位と上位10社の間では6.6ポイント(37.1%→43.7%)と、それまでで最も大きな差になる。

 企業イメージを見ても、差が大きいのは「高品質な製品・サービスを提供している」(4.8ポイント)、「チャレンジ精神がある」(4.1ポイント)、「優秀な人材が集まっている」(3.2ポイント)の順だった。就職意向も5.8ポイント高い(22.4%→28.2%)。企業評価フェーズ(上位10社)では、品質の確かさに加えて、「企業そのものの姿勢や将来性に対する見え方」でも差がついている。商品やサービスの確かさと、その向こうにある企業としての顔の両方が見えているということだろう。

記事01_第1回_図3図3 一つ上の順位帯との差

 

5.自社の現在地を知り、優先順位を決める

 7つの順位帯を通して見ると、差がつく場所は「何の会社か」から「使われ、中身まで知られているか」へ、そして「企業としてどう見られているか」へと移っていく。

 ただし、これは順位の違う会社どうしを並べた比較で、同じ会社が順位を上げていく過程を追ったものではない。順位帯の平均で見た傾向でもある。信越化学工業は認知度33.8%だが独自性は42.9%(認知者280人)、ヤッホーブルーイングは認知度14.7%で47.0%(同118人)と、全1000社の平均27.6%を大きく上回る。知られている範囲が限られていても、その違いがはっきり伝わっている会社はある。

 どの取り組みにも意味がある。違うのは、今の自社の位置で、その取り組みが結果に表れやすいかどうかである。自社がいまどのフェーズに位置し、次にどこを伸ばすべきかという「優先順位」を正しく見極めることが、効果的なブランディング戦略の第一歩となる。

 

 ブランド戦略サーベイでは、自社の認知度や愛着度・先進性などの評価を1000社の中での位置と並べて確認できます。次に差がつきやすい場所を考える材料になります。自社はいまどの順位帯にいるか、ご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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