米国・ベトナムが過去最高 ブラジル・タイは最低更新
日経リサーチが2016年1月に実施した第11回「世界暮らし向きDI」調査の結果がまとまりました。
この調査は米国、英国、中国、インド、マレーシア、タイ、ブラジル、ロシアの8カ国に、2014年4月調査から日本、2015年4月調査からベトナムを加えた計10カ国に住む20~59歳の男女各国約200人ずつにインターネットを通じて生活実感を尋ねるもので、現在と3カ月後の暮らし向きを聞き、「暮らし向きがよい(よくなる)」と回答した割合から、「悪い(悪くなる)」と回答した割合を引いた数値が「暮らし向きDI(指数)」となります。
調査は2013年7月から3カ月に1回実施しており、今回が第11回になります。結果は短信スタイルにまとめてお客様にご提供しています。
現在の暮らし向きDIは、米国が前回調査(15年10月)の54から22ポイント上昇し、76と過去最高を記録しました。個人消費が底堅く、雇用情勢も堅調。輸出と設備投資の落ち込みで成長率は減速していますが、3カ月後の暮らし向きDIも76で、やはり過去最高となりました。また、好調な輸出と個人消費の拡大で6%台の経済成長を維持するベトナムも59と過去最高を更新しました。ただし、前回調査した3カ月後DIの82に比べると23ポイントの乖離が生じています。
一方、現在DIが過去最低を記録したのはブラジルとタイです。インフレ加速や消費低迷で史上初の2年連続マイナス成長の可能性が高いブラジルは前回から10ポイント低下して60。輸出や内需の不振で景気回復が遅れるタイは19ポイントダウンの42でした。ブラジルの3カ月後DIは前回に続いて80と過去最低水準が続いていますが、これと比べても今回の現在DIは20ポイント下回ります。タイも同様で前回の3カ月後DIの63とは21ポイントの乖離があります。
他に3カ月後DIではインドが前回の68から22ポイントアップして1年ぶりの90となりました。原油安を追い風に個人消費・設備投資とも好調で、2015年7~9月期の経済成長率は7.4%を記録しました。対照的にロシアは前回から16ポイント低下して20と過去最低を更新しました。原油と通貨のW安で物価上昇が深刻化し、15年は6年ぶりのマイナス成長となり、16年も景気低迷が続く見通しです。ロシアは過去4回の調査のうち、3回で現在DIと3カ月前に調査した3カ月後DIの数値がほぼ一致しており、次回調査で現在DIの過去最低を更新する可能性もあります。
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